著者
加藤 理
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education
巻号頁・発行日
no.53, pp.219-227, 2019-12-20

『赤い鳥』が創刊された大正時代は,『赤い鳥』の他に『おとぎの世界』『金の船』『童話』などの児童文芸雑誌が次々に創刊されるが,それらを手にした子どもたちはごく一部にとどまっていた.多くの子どもたちは,貧困な生活の中で,貧困な文化環境を強いられ,童謡や童話と無縁の生活を送っていた.そうした時代の中で,投稿欄に多数の作品が掲載されて注目されたのが茨城県である.特に,県西部の小学校の児童の作品は,多くの雑誌を席巻した.そこで,なぜ茨城県の子どもたちが童謡などの芸術的児童文化に接することができたのか,文化環境を分析し,茨城県西部で童謡が隆盛した背景を中心に考察する.

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