著者
永井 久美子
出版者
東京大学連携研究機構ヒューマニティーズセンター
雑誌
Humanities Center Booklet (ISSN:24349852)
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-40, 2020-12-24

クレオパトラ、楊貴妃、小野小町を「世界三大美人」と称するのは日本独自の言説とされる。近代以後の産物と推測されつつも、追究されることのなかったその起源を追った。ローマを混乱させたクレオパトラと唐を衰退させた楊貴妃は、破滅を導く「運命の女」として19世紀末に評価され、小野小町も、日清・日露戦争に勝利し、中華世界や西洋世界を傾けた日本を象徴する美女として捉えられた。日本を代表する美女として特に小野小町が選ばれた理由として、「国風文化」を担う歌人の一人であったこと、「小町」が美女を広く表す名称であったことが挙げられる。「世界三大美人」言説は、明治末期から大正初期の頃、「小町」が「ミス」以上に美女を表す呼称として定着していた時期に、美人論が多く展開された新聞や雑誌を通して生み出されてきたものと考えられる。

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“CiNii 論文 - 「世界三大美人」言説の生成 : オリエンタルな美女たちへの願望” https://t.co/5dO7Du0iop ※本文リンクあり

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