- 著者
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永井 久美子
佐藤 塁
纐纈 雄三
- 出版者
- 明治大学農学部
- 巻号頁・発行日
- no.140, pp.9-23, 2004 (Released:2010-04-05)
本研究の目的は、滞在型の農業動物介在教育(FAAE)による体験が、都市生活を営む農学部学生の農業動物への認識や意見、そして気分や生理指標に及ぼす影響について検証することであった。このFAAEは、明治大学農学科の畜産実習・学生実験の一部として行われた。豚約50頭と他に肉牛と羊を持つ明治大学付属農場で実施されたFAAEの前後で2回、履修学生を被験者として調査をおこなった。FAAEは、大学寮での2泊3日で飼料給与、豚の体重測定や行動観察等を行った。さらに無作為に選ばれた学生については、血圧、体験の前・中・後で心電モニター図、脳波、気分を検査した。自己記入式質問紙法のPOMSで、6つの気分尺度、すなわち、活気、抑うつ?落ち込み、混乱、緊張?不安、怒り?敵意、疲労を測定した。有効被験者97人のうち、体験前後で農業動物が好きという回答が51.5%から62.5%に増加し、約75%が畜産に興味を持ったと回答した。彼等の農業動物と畜産への認識は体験で変化した。90%以上の学生がFAAEは農業と食育の重要性の理解、人格の形成に役立つと回答した。POMSでは体験前後と比較して、積極的な気分を表わす「活気」が体験中に上昇した。否定的な気分を表わす他の尺度は体験中に減少したが、体験後も変化はなかった。血圧と脳アルファ波占有割合は体験前後で変化しなかった。心電モニターからのR-R間隔は変化した。これらの結果から、FAAEは農業動物への認識、気分や生理にも影響があることが示唆された。