- 著者
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山本 聖子
池田 和子
大金 美和
杉野 祐子
谷口 紅
木下 真里
阿部 直美
紅粉 真衣
菊池 嘉
岡 慎一
- 出版者
- 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻
- 雑誌
- 保健学研究 = Health science research (ISSN:18814441)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, pp.119-127, 2019-09
有効な患者教育の内容について検討することを目的とし,2016年1月~12月にHIV陽性の確定診断を受け,かつA病院のHIV専門外来受診を開始した成人患者20名を対象にアンケートおよびインタビュー調査を行った.内容は保健所等でHIVスクリーニング検査陽性の告知を受けてから外来に初診で来院し患者教育を受けるまでの間に閲覧したネット上の情報の内容,閲覧したサイトの種類,特に印象に残った情報や信憑性に不安を感じた情報は何か,信憑性の確認はどのように行ったか等であった.調査の結果,ネットで情報収集をしたと回答したのは16名であった.閲覧した内容(複数回答)については,「疾病・治療に関する情報」が最多で15名であり,次いで「他のHIV感染者の思い・体験」が14名であった.思いや体験などのようなナラティブ情報は患者の情緒的サポートに有用であるが,時に混乱を招くことがあり,患者の個別性に合わせた情報提供が必要である.またネット上の情報についての真偽を何らかの方法で確認すると回答したのは5名のみで,医療者側から意識的に,患者の持つ情報の内容や根拠の有無を確認していくことが必要であることが明らかになった.