- 著者
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大谷 京子
- 出版者
- 日本福祉大学社会福祉学部
- 雑誌
- 日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
- 巻号頁・発行日
- no.143, pp.81-98, 2021-03-31
ソーシャルワーカーにとって,専門職アイデンティティ形成は極めて重要であるが,それが困難な環境に置かれている.本論では,ソーシャルワーカーの専門職アイデンティティに焦点を絞り,それがどのように語られているのか,概念を整理し,その形成のための教育訓練について提示する. ソーシャルワーカーの専門職アイデンティティは,①専門職集団が共有するアイデンティティ,②個人の中に統合された社会的アイデンティティの一つとしての専門職アイデンティティ,さらにはそれに対する自己認識,③個人の中にそのアイデンティティを内在化させるプロセスという 3 つの意味で使用されていた. ③のプロセスに注目した専門職アイデンティティ形成のための取り組みとして,養成課程では,「非公式カリキュラム」の土壌づくり,専門職アイデンティティを省察し表明する機会の提供など 5 点,現任者に対しては,専門職集団との日常的な交流の場の提供,ソーシャルワーカーによるスーパービジョンの提供など 4 点を提示した.