著者
石井 穣
出版者
関東学院大学経済経営研究所
雑誌
関東学院大学経済経営研究所年報 (ISSN:13410407)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.43-60, 2021-03

カウツキーはドイツ・マルクス主義の理論的指導者として位置づけられ,少数民族に冷淡な立場をとったとされてきたが,近年ではオーストリアの民族問題に関連して,民族の自治や共生を支持したことが評価されるようになった。このような評価は,生態系におけるさまざまな生物の,また国際社会での諸民族の共存を強調する,カウツキーの進化論的考察とも合致する。だがカウツキーは,社会主義においては自然選択は消滅するため,人為選択による「人種の改良」が必要と論じていた。人種的な退化を防ぎ,改良をはかろうとする優生学的思想を意味する。この一方における「共生」の論理と,他方での「排除」をもたらしかねない論理は,どのように理解すればよいのか,検討が必要である。本稿では人口問題に関するカウツキーの立場をふまえ,「人種の改良」が論じられた理由を検討する。そして共生と優生学的な論理はいかに併存しているのか,考察する。

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石井 穣「 カウツキーにおける「人口問題」と「人種の改良」 」2021 https://t.co/MmP5Cd5y0g #CiNii

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