著者
古沢 希代子
出版者
大阪市立大学経済学会
雑誌
大阪市立大学経済学会經濟學雜誌 = Journal of economics (ISSN:04516281)
巻号頁・発行日
vol.121, no.2, pp.19-44, 2021-03

21世紀に独立を遂げた東ティモールでは, 1975年にポルトガル植民地からの独立の過程で隣国インドネシアの軍事侵攻を受け占領統治されたため, 1999年の民族解放によって, インドネシア占領統治由来の土地問題とポルトガル植民地支配由来の土地問題が一挙に噴出した。本稿は, 東ティモールにおける土地紛争の類型と原因を分析し, 独立後15年を経て成立した2017年の土地基本法「不動産所有権の決定に関する特別方式」を東ティモール版土地改革と捉え, 歴史の不公正を正し, 国民和解を進め, 土地へのアクセスを保障する土地改革の精神がどのように実現されているのか探った。結論として, 同法は, 人々の慣習的権利やコモンズを尊重し, 過去の権利剥奪を国家補償の対象とする一方, 外国支配期の権利証書を有効とし, 広大な土地の使用権保有者を利した。土地権を得るために彼らに補償金を支払わねばならない貧しい現占有者の負担をどの程度軽減できるかが今後の課題である。

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