著者
嘉納 英明
出版者
名桜大学環太平洋地域文化研究所
雑誌
環太平洋地域文化研究 = Pacific Rim Studies (ISSN:24357510)
巻号頁・発行日
no.2, pp.45-54, 2021-07-09

本研究は,義務教育未修了者(昭和7年生~昭和12年生)の女性を対象に学齢児童生徒期における学校教育との関係についての聞き書きを分析したものである。彼女らは,沖縄戦によって学業が中断され,学校教育を受ける機会を剥奪されたばかりではなく,戦後は,混乱期の沖縄社会の中で,家族を支えるために学校教育を断念し働かざるを得なかった状況にあった。小学校及び中学校の義務教育を十分受けていないために,低学歴・低収入の中で生活に困難を抱える者もいれば,偶発的に基地従業員,あるいはバス会社の社員として雇用された者の生活は比較的安定した。だが,社会生活を営む中で,読み書きの能力を含む社会的スキルの未熟さを痛感し,義務教育を受けたいとする"学び"への渇望は常に持ち続けていた。それが,沖縄県の義務教育未修了者支援事業(学び直しの事業)への参加理由であった。

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「義務教育未修了者の社会的不利益に関する事例的研究―沖縄戦後の混乱期における教育機会の被剥奪者への聞き書きを通して」

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