- 著者
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張 瑋容
- 出版者
- お茶の水女子大学ジェンダー研究所
- 雑誌
- ジェンダー研究 : お茶の水女子大学ジェンダー研究所年報
- 巻号頁・発行日
- no.24, pp.113-130, 2021-07-31
従来のBL(ボーイズラブ)研究において、男同士の親密関係をめぐる腐女子の欲望や、ジェンダー規範の解放などが議論されてきた。BLの実写映画やドラマの増加により、腐女子の界隈を超えてより多くの人々に触れられるようになりつつある今日、BLが異性愛中心主義のジェンダー構造にもたらす攪乱をより包括的に分析する論点が必要になる。本稿はラカン批評を中心とするフェミニズムの議論を基に、「男」「同士」の「関係性」をめぐるファンタジーを構造化する理論構築を目的とする。まずは、象徴界、想像界、現実界といったラカンの概念を用いて、BLファンタジーの構造化を試みた。次に、BL ファンタジーを表す「攻め×受け」の造形に着目し、BL と異性愛中心主義とのパロディー的な対峙関係を論じた。最後に、本稿の議論を「BL ファンタジーの存在論」で締め括り、そこから異性愛中心主義の強固さと滑稽さを追究する姿勢を示すことで、BL研究を新たな次元に導くルートの開拓を試みた。