著者
西山 亮介
雑誌
人間文化研究 = Studies in Humanities and Cultures (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
no.36, pp.192-228, 2021-07-31

平安時代の僧浄蔵は三善清行の子で多様な霊験譚を持つ。歴博本は従来未検討の浄蔵伝であり、本稿はこれを紹介、検討するものである。奥書によれば、歴博本は長暦三年(一〇三九)に僧慶深が書写した「浄法寺一切経見定目録」の紙背にあった浄蔵伝を、幕末期に国学者谷森善臣が書写したものという。本稿では、奥書にいう「僧慶深」や「浄法寺一切経」について検討を加え、特定の可能性を示した。また、他の浄蔵伝と比較することで、次の三つの特色を明らかにした。一、歴博本は、他の伝と酷似する部分を持つ。二、歴博本には複数の明らかな誤脱が存する。三、歴博本によって他の伝を校訂できる箇所がある。最後に、歴博本の影印及び翻刻を掲げる。

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西山 亮介 - 国立歴史民俗博物館所蔵『浄蔵法師伝』について https://t.co/KMlzGC6EC1

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