- 著者
-
吉田 美穂
- 出版者
- 弘前大学教育学部
- 雑誌
- 弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
- 巻号頁・発行日
- no.126, pp.161-172, 2021-10-25
学校は地域に開かれた子どもの貧困対策のプラットフォームの役割を求められているが、学校関係者の当事者意識は必ずしも高くない。本研究は、こうした状況に対して教育学の研究者に何ができるかという視点から、地域に根ざした質的研究の可能性を探るものである。具体的には、弘前大学「子どもの貧困」プロジェクトと青森県母子寡婦福祉連合会による「新型コロナウイルス下のひとり親家庭に関する実態調査」における関係者の協働と調査結果の活用から、その課題と可能性を検討した。地域に根ざすことと匿名性の確保の両立に難しさはあるが、地域に根ざした質的研究は「すぐ隣で起きている、でも、見えていないこと」を可視化する優れた方法であり、関係者の協働によるその企画分析のプロセスは、調査実践の公共性につながるものといえる。