- 著者
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岡村 弘樹
- 出版者
- 佛教大学国語国文学会
- 雑誌
- 京都語文 (ISSN:13424254)
- 巻号頁・発行日
- no.29, pp.47-65, 2021-11-27
本稿では、中古以降に四段活用と上二段活用との間で揺れが見られる動詞について検討した。先行研究では活用型に揺れが生じた積極的な理由がいくつか指摘されているが、そうした理由が考えられるにしては、活用型が転じた動詞というのは少ない。そこで、活用型に揺れが見られる動詞に四段活用には少ないタ行動詞が比較的多く見られることに着目し、四段活用らしさが希薄であるという条件が活用型の揺れに関わっている可能性を指摘した。 また、中世において四段活用ではなく上二段活用として新たに成立した動詞を調査したところ、バ行動詞・ダ行動詞・タ行動詞のみであった。バ行動詞は上代より上二段活用に特徴的に多く見られ、ダ行動詞は四段活用には一語も存在しない。タ行動詞はこれらに準ずる存在といえ、四段活用より上二段活用が優先されることがあったことを確認した。