著者
時津 裕子
出版者
The Japanese Society for Cognitive Psychology
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.75-84, 2004
被引用文献数
3

本研究の目的は考古学的熟達者に特有の注視パターンについて,人工物の分類・同定をめぐる考古学的認知技能との関係性に着目して検討することであった.初級から上級レベルまでの考古学経験者9人と3人の非経験者が実験に参加した.被験者が考古学の土器および統制刺激としての植木鉢を観察している間の眼球運動を,アイカメラ(EMR-8)によって測定した.注視箇所と眼球運動パターンについて分散分析,主成分分析を用いて定量的分析を行ったところ,上級者グループに特別な注視パターンが認められた.分析の結果,考古学的熟達者は初級者や非経験者と比較して,1) 物の輪郭部を注視する割合が高いこと,2) 視線移動距離が長く停留持続時間が短い眼球運動パターンをもつこと,が明らかになった.この結果は考古学的熟達者が,物の形態的特徴とプロポーションに注意を向けていることを示すものと解釈した.

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