著者
塚田 健一
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.60, pp.41-52, 2002

本論文は, ガーナ南部ファンティ社会の宮廷太鼓合奏フォントムフロムにおけるハイライフ様式の成立過程を独立後のガーナの文化政策との関わりの中で明らかにしようとするものである。ガーナのポピュラー音楽, ハイライフの様式を導入したフォントムフロムは1970年代に三人の音楽関係者の手によって成立・発展した。そしてその過程には, ガーナ独立後のンクルマ政権のネーション・ビルディングに向けた文化政策が深く関わっていた。「アフリカの個性」概念に表れたンクルマの政治理念はきわめて伝統主義的であり, その文化政策は伝統教育を推進するとともに, 伝統的な音楽舞踊に基づいた新しい国民文化を創出するために「国民劇場運動」を展開するというものであった。伝統教育と国民文化創出という独立後の大きな文化運動の流れの中で, 一人は音楽教育者としてフォントムフロム教育の中で伝統の再編を試み, 後の二人は楽師としてそれをさらに発展させ, 宮廷太鼓合奏にポピュラー音楽の要素を取り入れて新しい様式を誕生させた。フォントムフロムにおけるハイライフ様式の成立は, その意味でンクルマ政権の文化政策の所産と見ることができる。

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