著者
塚田 健一郎 宮林 千春 古川 浩一 寺尾 ゆみ子 窪川 芳樹 綱島 勝正 青柳 豊
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.1215-1220, 2006-06-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
19
被引用文献数
2

内視鏡検査後に一過性全健忘をきたした3例を報告する.いずれも女性で,逆行性健忘と順向件健忘を呈した.意識障害はなく年余に渡る長期記憶も障害されていなかったが,現在の自分の状況を理解できなかった.家族は状況の理解に苦しみ不審の念に駆られ,また施行医も当惑した.原因として,内視鏡検査を受ける不安・緊急などのストレスが挙げられる.極めて稀な合併症と思われるが,知っておくべき重要な合併症と考えられる.
著者
塚田 健一
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.60, pp.41-52, 2002

本論文は, ガーナ南部ファンティ社会の宮廷太鼓合奏フォントムフロムにおけるハイライフ様式の成立過程を独立後のガーナの文化政策との関わりの中で明らかにしようとするものである。ガーナのポピュラー音楽, ハイライフの様式を導入したフォントムフロムは1970年代に三人の音楽関係者の手によって成立・発展した。そしてその過程には, ガーナ独立後のンクルマ政権のネーション・ビルディングに向けた文化政策が深く関わっていた。「アフリカの個性」概念に表れたンクルマの政治理念はきわめて伝統主義的であり, その文化政策は伝統教育を推進するとともに, 伝統的な音楽舞踊に基づいた新しい国民文化を創出するために「国民劇場運動」を展開するというものであった。伝統教育と国民文化創出という独立後の大きな文化運動の流れの中で, 一人は音楽教育者としてフォントムフロム教育の中で伝統の再編を試み, 後の二人は楽師としてそれをさらに発展させ, 宮廷太鼓合奏にポピュラー音楽の要素を取り入れて新しい様式を誕生させた。フォントムフロムにおけるハイライフ様式の成立は, その意味でンクルマ政権の文化政策の所産と見ることができる。

1 0 0 0 OA 序論

著者
塚田 健一
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.60, pp.35-39, 2002-03-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
59
著者
川田 順造 鈴木 裕之 鶴田 格 分藤 大翼 塚田 健一
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

世界でもアフリカ地域はとくに、「音文化」が豊かに発達し、継承されてきた地域だ。西洋近代で作られた「音楽」に当たる概念はあまりに狭いので、口頭伝承、器音、身体表現をともなう歌や囃子なども含めた「音の文化」を、私たちの班では研究対象としてきた。近年日本へも盛んにミュージシャンが来演している「グリオ」系の声のパフォーミング・アーツはじめ、アフリカ起源のアメリカ黒人が生んだ、ジャズ、レゲエ、ラップにいたるまで、20世紀の世界の音楽は、アフリカの音文化を抜きにして語ることができない。アフリカでもすでに、いくつもの音文化がユネスコの世界無形文化遺産として登録されているが、大陸全体での音文化の豊かさから見れば不十分であり、ユネスコなどの国際機関を通じて世界に知らせるべき無形文化遺産(日本の公式用語では無形文化財)はまだ多い。私たちの研究班では、アフリカのさまざまな地域ですでに長い調査体験をもつ研究者の、現地調査に基づく第一次資料によって、今期3年度間には、無形文財を支えている地域社会との関係を明らかにする研究を行った。無形文化財は、有形のものと異なり、それを担い、未来に向かって継承してゆく地域社会との結びつきが極めて重要であり、地域社会なしには、無形文化遺産はあり得ないと言ってもいい。今期私たちの班では、西部アフリカ(ブルキナファソ、ギニア)、中部アフリカ(カメルーン)、東部アフリカ(エチオピア、タンザニア)と、かなり偏りなく取りあげられた地域社会について、それぞれが継承してきた音文化との関わり、継承の未来について研究した。その研究成果は、研究代表者川田が多年専門家として活動してきたユネスコにも報告しており、活用されることが期待される。