著者
千葉 満郎 鈴木 俊夫 長沼 裕子 正宗 研
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.235-242, 1991

薬物や抗生物質を投与せず,total parenteral nutrition(TPN),elemental diet (ED), home elemental enteral hyperalimentation (HEEH)の一連の栄養療法が極めて有効であった小児の重症Crohn病の1例を報告した.症例は14歳,女性.1989年6月,下痢,発熱,口腔内aphtha出現,7月末当科入院.身長161cm,体重39kg,ESR 1゜65mm,CRP 6.1mg/dl, Hb 7.4g/dl, albumin 2.9g/d1, IOIBD score 5.大腸X線・内視鏡検査では,不連続性に,結節の集簇,aphthoid様びらん,潰瘍などがみられた.上部消化管,小腸は正常であった.大腸Crohn病と診断しTPN(2100kcal/日)開始,10目後に自覚症状は全く消失した.その後ED(2100kcal/日),ついでHEEH(夜間 ED l500kca1/日)へ移行し,9.月27日退院(IOIBD score 1).その後もHEEH療法を継続,経過良好で,退院3カ月後のX線,内視鏡検査でも著明な改善がみられている.

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