著者
芥川 真一 笠原 敏志
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.26-32, 2000
被引用文献数
2 2

自然現象の数理モデルを計算機によってシミュレーションする手法として有限要素法が発展し,現在では科学技術計算の根幹を支える手法のひとつとしてその地位を確立している.航空機の設計に初めて用いられた有限要素法は,既に半世紀ほどの開発の歴史を経て現代に至っており,その最先端技術には目を見張るものがある.一方,大学などの専門教育課程においては学部3年から大学院にかけて有限要素法を学習するカリキュラムが多く見られるが,初めて有限要素法に取り組もうとする学生は,半世紀前の学生と同様に,変分原理,仮想仕事の原理,発散定理などの難解な概念,あるいは偏微分方程式,積分方程式などの数学的表現と格闘することになる.多くの場合,これらの概念を学ぶ事と,実際の問題を解くプロセスとを関連付ける事が困難であるために,初期の段階で学習意欲が低下したり,実際に計算を正しく行う事が出来るようになった段階でも,力学問題における応用力に欠けている場合もある.本論文は,これらの状況を勘案し,「物体に荷重が作用したときに何がおこるのか?」という極めて明快な課題に対して,リアルタイムに解を求め,その結果を即時にコンピュータのスクリーンに表示できるように作成した有限要素法解析プログラムについて,その適用性と可能性を考察したものである.

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