- 著者
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小川 和夫
江草 周三
- 出版者
- 日本魚病学会
- 雑誌
- 魚病研究 (ISSN:0388788X)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.95-99, 1980
- 被引用文献数
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11
1. 1975年2月から1979年6月にかけて,養殖ウナギのGyrodactylus寄生を調査した結果,ニホンウナギからGyrodactylusの得られた池は19(千葉・静岡・徳島・宮崎県),ヨーロッパウナギからGyrodactylusの得られた池は5(静岡・徳島県)であった。2. Gyrodactylusを同定した所,ニホンウナギ寄生種は全てG.nipponensisであり,ヨーロッパウナギ寄生種はG.anguillaeとG.nipponensisであった。3. ニホンウナギとヨーロッパウナギの間には,G.nipponensisに対する感受性に大きな差はないと思われる。最も重篤な寄生例では,ニホンウナギ(体長約45cm)1尾当り約20,000虫体のG.nipponensisが鰓弁から得られた。4. G.anguillaeは日本初報告種であり,種を再記載した。5. 今回得られたG.anguillaeは,ヨーロッパウナギとともにフランスから持ち込まれたものと判断された。我が国のニホンウナギからは,現在までに,G. nipponensisしか見出されず, G. anguillaeが日本に定着したという証拠は得られなかった。ヨーロッパウナギ寄生のG.nipponensisはニホンウナギから伝播していったものと推測される。