著者
香川 貴志
出版者
THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.89-104, 1990
被引用文献数
6 1

筆者は, 先に, 東北6県の県庁所在都市を事例として, 都市内部における人口高齢化現象の地域的展開を明らかにした (香川, 1987)。その結果, 人口高齢化が著しい地区は, 都心部, 都心周辺部および市域縁辺部に展開し, 当該地区では人口減少も著しいことが解明された。また, 人口高齢化の進行は非高齢人口の地区外転出によって促進されていることがわかった。しかし, 広域中心都市である仙台市だけは, 市域縁辺部において人口高齢化および人口減少が顕著ではなかった。本稿は, 唯一例外的であった仙台市の事例が他の広域中心都市でも認められるか否かを解明するため, 北陸3県の広域中心都市として機能する金沢市を事例として進めた研究である。研究手法等は東北6県県庁所在都市の事例に準ずるが, 人口増加が著しい地区を析出するなど, 新たな分析を加え, さらに地域モノグラフとしての性格も持たせるように工夫した。研究の結果, 金沢市のケースは仙台市のそれに酷似していることが明らかとなった。すなわち, 人口高齢化および人口減少が著しい地区は, 都心部, 都心周辺部に限られ, 市域縁辺部では, むしろ人口増加が顕著であることが確認できた。

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