著者
香川 貴志 古賀 慎二 根田 克彦
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.497-520, 2012 (Released:2018-01-24)
参考文献数
40
被引用文献数
1 1

Already more than 30 years have passed since the IGC was held in Tokyo. In that time, Japan’s cities have gone through major transformations, but that is in large part due to having experienced the appreciation of land values during the bubble economy of the late 1980s. In urban cores during the bubble, land rushes drove prices to appreciate, and that spilled over into the suburbs as well. The supply of residences in suburbs grew, and this facilitated the expansion of business and commercial functions into the suburbs. However, the drop in and stabilisation of land prices following the collapse of the bubble prompted the supply of tower-type condominiums in the surrounding areas of CBDs and also had a tremendous impact on the expansion of business function and retail sites. This paper tackles what urban geography involves and what it explains about environmental changes in urban areas of Japan. After the collapse of the bubble, people were impacted on a global scale by synchronised terrorist attacks, the Lehman Shock and other events. The various activities of people living and working in cities often became the focus of urban geographical studies, and that continues to this day. This paper sheds light on that trend in Japan’s geography circles.
著者
香川 貴志 井上 明日香
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.136-144, 2016 (Released:2016-03-15)
参考文献数
18

国際地理オリンピック(iGeo)は,主に高校生が選手として出場する競技会で,最近では国際地理学会議(IGC)の地域大会の開催地で毎年催されている.日本は長らく苦戦を続けていたが,直近の2015年8月にロシアのトヴェリで開催されたiGeoでは,代表選手の全員がメダルを獲得するという史上初の快挙を成し遂げた.その背後には,日本代表選手の選考にあたっての選抜試験の工夫,代表選手に対する強化研修の取り組みなど,成績の改善に向けた不断の取り組みがある.本稿では,前者に焦点を当てて,2015年における3次試験の内容を紹介し,地理教育を改善していくための一助としたい.
著者
香川 貴志 井上 明日香
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.136-144, 2016

国際地理オリンピック(iGeo)は,主に高校生が選手として出場する競技会で,最近では国際地理学会議(IGC)の地域大会の開催地で毎年催されている.日本は長らく苦戦を続けていたが,直近の2015年8月にロシアのトヴェリで開催されたiGeoでは,代表選手の全員がメダルを獲得するという史上初の快挙を成し遂げた.その背後には,日本代表選手の選考にあたっての選抜試験の工夫,代表選手に対する強化研修の取り組みなど,成績の改善に向けた不断の取り組みがある.本稿では,前者に焦点を当てて,2015年における3次試験の内容を紹介し,地理教育を改善していくための一助としたい.
著者
山下 博樹 藤井 正 伊藤 悟 香川 貴志
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成16〜17年度の2年間における本研究課題では、リバブル・シティとしての評価が高いカナダ・バンクーバーとオーストラリア・メルボルンにおける公共交通網を基軸とした都市圈整備に関する現地調査を実施し、わが国における都市圈整備の方向性を検討することを目的とした。その研究成果の概要は、次の通りである。1.バンクーバー都市圈では、1970年代からの取り組みをベースにしたGVRDによる"Livable RegionStrategic Plan"を基に、公共交通網の再整備と結びついたコンパタトで高密度な街づくりが郊外タウンセンターで実践され、利便性の高い日常生活拠点として整備されている。2.メルボルン都市圈では、1990年代から取り組んできた市街地拡教化防止のための土地利用規制に加えて、2002年に第定されだMelbourne 2030"による持続可能な都市圈整備の取り組みがスタートし、郊外のディストリクト・センターを中心に公共交通でもアクセズ可能で、多様な機能集積による利便性の高い中心地形成が進められている。3.これらの両都市圈での詳細な土地利用調査や公共交通網整備の状況などから、21世紀の持続可能な都市整備方針としてのリバブル・シティの特性の一端を明らかにすることができた。4.わが国でのリバブル・シティ形成の可能性は、東京、大阪など公共交通網の発達した大都市部では高い実現性を有するが、反面、過密な人口密度などによる弊害をどのように緩和するか等の新たな課題が生じる。地方都市部では、低い人口密度とモータリゼーションにより、持続可能な市街地整備の必要性が一層高まっているが、その状況はむしろ悪化しつつある。高齢化の進展などに対応したバリアフリー化などの視点からの再整備が有効であると考えられる。
著者
香川 貴志 [チョ] 勁風
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大學紀要. A, 人文・社会 (ISSN:03877833)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.83-98, 2000-03

本研究の目的は,近年の京都市における人口の自然動態(出生数から死亡数を減算したもの)と社会動態(転入数から転出数を減算したもの)の地域差を解明し,その要因を考察することにある。研究対象期間は1990年10月から1997年9月までの7年間で,分析スケールは国勢統計区である。自然動態の地域差を概観すれば,旧市街地での人口減少,市街地周辺部での人口増加が指摘できる。社会動態の地域差を概観すれば,住宅開発が顕著な市域南西部,集合住宅の立地が盛んな旧市街地の一部で人口増加が認められる。一方,旧市街地の多くでは社会動態における人口減少が顕著である。また,旧市街地のうち,自然動態と社会動態の双方が増加をきたしているのは,下京区の光徳学区だけである。そこで,光徳学区内でフィールドワークを実施し,土地利用の変化を調べた。その結果,集合住宅だけでなく,3階建の戸建住宅が多く立地していることを知り得た。The purpose of this paper is to elucidate the areal difference about natural change (subtract number of deaths from births) and social change (subtract number of move-outs from move-ins) of the population, and to consider the factors related to recent population change in Kyoto City. The term of this study is seven years, from October 1990 to September 1997, and the analysis was done in the scale of census tract. From the point of view of natural change, the population is decreasing in central Kyoto, and increasing in the outskirts of the city. The purport of the social change is as follows. The area that is increasing in population is distributed in the southwest part of the city and a part of central Kyoto. The former has many house-constructions, and in the latter, there was a lot of establishment of condominiums. On the other hand, in the most part of central Kyoto, the population is decreasing from the point of view of social change. In central Kyoto, it is only in Shimogyo's Kotoku Area that the both natural and social change are increasing. That was why the authors investigated the change of land utilization in the Kotoku Area. In consequence, we looked at not only many condominiums but also many three-storied detached-houses in this area.
著者
香川 貴志
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p>本報告は、地理学が都市復興において果たせる役割を都市地理学の観点から提案したものである。都市復興の際には都市計画法に基づいた用途地域指定が基盤となる。旧来の用途地域指定は二次元的に地表を区分するものであったが、津波被害からの復興を視野に入れると三次元的な観点が必要である。用途地域指定に際しては、自然地理学研究者が数値標高モデルを活用して作業に関与し、人文地理学研究者が私権制限を最小限にするために参画すべきである。こうした取組が地理学のプレゼンスを一層高めることになるだろう。</p>
著者
野間 晴雄 香川 貴志 土平 博 河角 龍典 小原 丈明
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨 2011年 人文地理学会大会
巻号頁・発行日
pp.48, 2011 (Released:2012-03-23)

1.目的・視角と本発表の経緯 大学学部専門レベルの地理学研究の知識と技術を網羅した教科書・副読本として1993年刊行の『ジオグラフィック・パル 地理学便利帖』(海青社)1)は,情報アップデート化2)を除いて,2001年に『ジオ・パル21 地理学便利帖』3)以降,大きな改訂をしてこなかった。この間,日本の大学地理学教育をめぐる環境変化,IT技術の急速な変化,高等学校での「地理」の未履修者の増加とその対応,隣接分野への地理学的アプローチの拡がりと地域学・観光などのコース・学科や学部の新設などにより,提供すべき知識・内容を抜本的に改訂・一新する必要が生じてきてきた。 本発表の目的は,2012年春の刊行をめざした全面改訂版である『ジオ・パルNeo 地理学・地域調査便利帖』(仮題)の要諦を,旧版と比較して解説し,現代の大学生が身につけるべき地理学の基礎知識や技術や情報について考察することである。副次的な意図としては,改訂内容への忌憚のない意見・情報を学会参加者から求め,最終稿へ導くことである。 2.大学の地理学教育をめぐる環境変化 この約20年間,アカデミック地理学の動きとしては、環境論が装いを新たにして再浮上してきたこと,計量・モデル志向の方法論の相対的後退,自然地理学の細分化,新しい文化社会地理学・政治地理学の隆盛,場所・地域論の見直し,地理思想の拡がりなどである。技術論としては,GIS,ITの目覚ましい発達,とりわけインターネットを通じた大量かつ広範囲の情報の入手,加工が容易になったことがあげられる。 日本の大学における地理学の立場も大きく変わった。大学「大綱化」による教養課程の廃止と専門科目の低学年次への繰り下げ,大学における組織改組,多様な(一部には意味不明な)専攻・専修・コースの設立や改称,地理学やその隣接分野を学べる専攻の多様化・分散化などがあげられる。高等学校「地理」が必修科目からはずれたことによる学生の基礎知識の低下と格差拡大,ゆとり教育の推進による常識・学力の低下,学生の内向化,フィールドワークや基礎的技術を疎んじるインターネット過信などの状況がある。 3.全面改訂作業の内容 ―旧版との比較を通じて― 旧版『ジオ・パル』の趣旨には,故・浮田典良氏の地理教育・地理学への高い志が凝縮されている。詭弁を排し,徹底して大学生が学ぶべき内容をコンパクトに盛り込む便覧を意図し,2~4年ごとの改訂によって最新情報の提供をめざした。その構成は,地理学史などの本質論から,地理学の諸分野,研究ツール,文献,分析手法,キーワードに及んだ。今回の全面改訂は,旧執筆者の意見を汲み込みながら,現役で学部の実習や演習を担当している若手・中堅4名の十数回にわたる討議・共同作業により,3部構成(イントロ,スタディ,アドバンス)に全体を組み替えた。 「イントロ」は,高校「地理」を履修せずに入学する多様な学生の注意をひき,現在の学生の最大の関心である就職や資格にも配慮した入口~出口解説である。本論が「スタディ」で,さまざまな授業で随時参照でき,かつ4年間あるいは卒業後も使える有用性をめざした。地図の利用と自ら主題図を作成する技術,地域データの入手法,地域調査事例,GISの入門などを充実させるとともに,学生がプレゼンテーションや卒業論文を書く際の注意事項などを追加した。その一方で,地理学史や著名学者,学会など,大学院をめざす人,より高い専門性を追求する学生向きの事項は「アドバンス」にまわした(図1)。 4.今後のよりよき改良と修正に向けて 研究発表時には野間が全体の概要とねらいを,香川が具体的な改訂版の新機軸や内容の一端を紹介する。まだ,全体に盛り込むべき内容が完全には確定していない。情報として盛り込むべき事項(専攻名称や地方学会の雑誌情報)も変化が激しい。会場入口に置いた追加資料に挟み込まれたアンケート(無記名)と情報提供について,ご協力を賜れば幸いである。 注・文献 1)浮田典良編『ジオグラフィック・パル 地理学便利帖』海青社,1993年[白表紙]。2)浮田典良編『ジオグラフィック・パル 地理学便利帖1998-1999年版』海青社,1998年[紫表紙]。3)浮田典良・池田碩・戸所隆・野間晴雄・藤井正『ジオ・パル21 地理学便利帖』海青社,2001年[赤表紙]。
著者
香川 貴志
出版者
THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.89-104, 1990
被引用文献数
6 1

筆者は, 先に, 東北6県の県庁所在都市を事例として, 都市内部における人口高齢化現象の地域的展開を明らかにした (香川, 1987)。その結果, 人口高齢化が著しい地区は, 都心部, 都心周辺部および市域縁辺部に展開し, 当該地区では人口減少も著しいことが解明された。また, 人口高齢化の進行は非高齢人口の地区外転出によって促進されていることがわかった。しかし, 広域中心都市である仙台市だけは, 市域縁辺部において人口高齢化および人口減少が顕著ではなかった。本稿は, 唯一例外的であった仙台市の事例が他の広域中心都市でも認められるか否かを解明するため, 北陸3県の広域中心都市として機能する金沢市を事例として進めた研究である。研究手法等は東北6県県庁所在都市の事例に準ずるが, 人口増加が著しい地区を析出するなど, 新たな分析を加え, さらに地域モノグラフとしての性格も持たせるように工夫した。研究の結果, 金沢市のケースは仙台市のそれに酷似していることが明らかとなった。すなわち, 人口高齢化および人口減少が著しい地区は, 都心部, 都心周辺部に限られ, 市域縁辺部では, むしろ人口増加が顕著であることが確認できた。
著者
日野 正輝 富田 和暁 伊東 理 西原 純 村山 祐司 津川 康雄 山崎 健 伊藤 悟 藤井 正 松田 隆典 根田 克彦 千葉 昭彦 寺谷 亮司 山下 宗利 由井 義通 石丸 哲史 香川 貴志 大塚 俊幸 古賀 慎二 豊田 哲也 橋本 雄一 松井 圭介 山田 浩久 山下 博樹 藤塚 吉浩 山下 潤 芳賀 博文 杜 国慶 須田 昌弥 朴 チョン玄 堤 純 伊藤 健司 宮澤 仁 兼子 純 土屋 純 磯田 弦 山神 達也 稲垣 稜 小原 直人 矢部 直人 久保 倫子 小泉 諒 阿部 隆 阿部 和俊 谷 謙二
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1990年代後半が日本の都市化において時代を画する時期と位置づけられる。これを「ポスト成長都市」の到来と捉えて、持続可能な都市空間の形成に向けた都市地理学の課題を検討した。その結果、 大都市圏における人口の都心回帰、通勤圏の縮小、ライフサイクルからライフスタイルに対応した居住地移動へのシフト、空き家の増大と都心周辺部でのジェントリフィケーションの併進、中心市街地における住環境整備の在り方、市町村合併と地域自治の在り方、今後の都市研究の方向性などが取組むべき課題として特定された。
著者
土居 晴洋 山崎 健 香川 貴志 木本 浩一
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は,現代中国において改革開放政策導入以後,急速に展開されている住宅改革の実態と都市地域構造の変化における意味を明らかにすることを目的としていた。本研究の具体的な研究テーマは,中国における住宅改革の特質を明らかにすること,中国国内における都市の住宅の市場化の地域的特質を明らかにすること,北京と上海における住宅開発のタイプとその開発の地域的特質を明らかにすること,住宅建材を含めた中国独特の住宅供給構造を明らかにすることの4点である。これらのテーマに関して,代表者と各研究分担者は海外共同研究者の協力を得て,中国現地において不動産企業や行政機関などへの聞き取り調査や統計・文献資料の収集と整理を行った。土居は住宅改革およびその市場化に関して,文献・統計資料を用いて全国的な動向を把握して北京市と上海市の全国的な位置づけを確認するとともに,北京市における不動産企業への聞き取り調査を進めて,住宅開発が行われるメカニズムを明らかにした。山崎は北京市における住宅開発の地域的動向を統計資料と開き取り調査によって明らかにし,住宅開発が北京市の都市地域構造の変化に持つ意味について考察した。香川は上海市における住宅開発の地域的動向を分析するとともに,インターネットを通じた住宅物件情報の整備状況を調査した。木本は建設業者や内装設備等の関連業者への聞き取り調査を進め,日本とは異なる中国独自の住宅開発プロセスおよび住宅産業の特質を明らかにした。なお,香川と木本は共同で北京市,上海市において,住宅入居者に対するアンケート調査を用い,住宅購入の動機や住宅選択の要因などを考察した。以上の研究成果を通じて,経済成長が急速に進む中国の大都市において,居住環境の改善を求めて住宅を購入する市民,中国独自の土地・住宅制度のもとで住宅開発を行う住宅開発企業,さらに社会主義的特質の維持にも努力する政府・行政機関それぞれの特質と3者の相互関係が明らかになるとともに,このような住宅市場の形成によって都市地域構造が急速に変容していることが確認された。