著者
葛西 大和
出版者
東北地理学会
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.204-212, 1971

筆者は, 市乳市場から遠隔の地にあって, 低い乳価を強いられる十勝平野の酪農について, その存立基盤, 競合作物との関連による立地, 酪農の発展を支えてきた基本的な要因について考察した。<BR>1 農業経営の分析の結果, 地域的にみれば, 酪農は畑作物に従属的な十勝平野中央部と, 専業的酪農家の成長している十勝平野周辺部に区別される。<BR>2 畑作物と牛乳生産の土地生産性の比較や豆類の投機性, 経営規模の大きさなどを考慮すると, 平年作の時には畑作物が相対的に有利といえるが, 労働生産性や寒冷地という条件を考慮すると牛乳生産の収益性は畑作物の収益性に劣るものではない。<BR>3 従って周辺部の山麓や沿岸部の方が自然条件の影響をより強く受けて, 畑作経営上は不利であり, 相対的に酪農に重点があるといえる。乳価の地域差が小さい十勝では, 周辺部の酪農の地位が重要になっていくと予想される。<BR>4 酪農経営の分析に, 牛乳生産費調査の結果を合わせて考えると, 十勝の酪農生産の発展を支えてきた基本的な要因は「乳価の上昇」と「経営農地の広さ」に帰せられる。

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