著者
萩屋 薫
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.81-86, 1952
被引用文献数
2

(1) すいりの生理機構を明かにするため二十日大根を用い肥大生長に伴うすの發現經過を調査した。<br>(2) すの發現は肥大した大根に於て通導組織に遠い部分の木部柔組織の大形細胞に先ず糖の消失が見られ, ついでそのあたりの細胞に破生的及び離生的に生じた組織空洞が發現し, それが次第に擴大されてすとなる。すは木部柔組織に限られてあらわれる特徴を持つている。<br>(3) 根身内の可溶性物質の含量を中心部, 周縁部, 中間部について調査したるに, 一般にすの入つた部分の柔組織は他の部分に比してそれが低くなつており, 又全般的にすの甚しいものほどその含量が低下している事が認められた。<br>(4) すは葉長•葉數•根重•根徑等が急激に増加しT/R 率は低下し, のちこれ等が略一定に落付いて來た前後に發現し, 又この時期には柔組織の細胞の大さやその數が最大點に達し, 可溶性物質の含量は最低を示す。然してすは發現し始めると短期間に或限度まで急速に進行するがそれ以後はあまり増加しない。<br>(5) すの甚しいものは大體根重•根徑が大なる個體に多く, T/R 率が大なるものはすの發現が少い。又すの入つたものは柔組織細胞の數や大さが大きい。<br>(6) すの發現の第一歩は當該部柔組織細胞の老化にあると考えられ, それは主として根の肥大に伴う急激な細胞の生長によりその内容物の含度が低下し, 加うるに通導組織からの養分補給に支障を來たし一種の饑餓状態になるためと考えられる。

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