著者
番場 宏治
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.368-378, 1968
被引用文献数
7

花ユリで見られる色素構成を解明するために, 21種類の花ユリについて花被に含まれるカロチノイドを呈色反応, T.L.C., カラムクロマトグラフィー, 吸収スペクトルおよび分配の諸方法を用いて定性的に調査し, 以下の結果を得た。<br>1. 21種類の花ユリのうち, 18種類にカロチノイドが存在し, それらは&beta;-カロチン, クリプトクサンチン, エキニノン様カロチノイド, ゼアクサンチン, カプサンチンおよびカプソルビンの6種であつた。<br>2. 黄花ユリは&beta;-カロチン, クリプトクサンチンおよびゼアクサンチンにより黄色に色彩発現していた。<br>原種の橙花ユリは, その色素構成により二つのグループにわけられた。一つはエキニノン様カロチノイドにより橙色に色彩発現しているグループで, これに属する花ユリは2種類あつた。他はカプサンチン&bull;カプソルビンにより橙色に色彩発現している種で, この色素をもつ花ユリは5種あつた。<br>3. 二つの交配種ではエキニノン様カロチノイドもカプサンチンカプソルビンも共存して, 赤色系に色彩発現していたが, これは種の成立過程で両グループの原種が交雑されていることを示唆している。<br>4. オニユリを除く赤色系花ユリの原種では橙色カロチノイドとアントシアニンは共存せず, いずれか一方の色素により色彩発現をしているが, 交配種ではこの規則性は失われ両色素が共存していた。<br>5. 花ユリの交雑親和性-特にアントシアニン系グループとカロチノイド系グループとの親和性-と花色を構成する色素の種類との間には絶対的な関連性があるとは思われなかつた。

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こんな論文どうですか? 花ユリの花色分析 II(番場 宏治),1968 https://t.co/8gIYxtsedC 花ユリで見られる色素構成を解明するために, 21種類の花ユリについて花被に含まれるカロチノイドを呈色反応, T.L…
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