著者
今西 英雄 植村 修二 園田 茂行
出版者
園藝學會
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.483-489, 1986
被引用文献数
2

1. くん煙あるいはエチレン処理により休眠打破を促した球茎と無処理の球茎とを用いて, 発芽試験, 球茎最上腋芽における葉の分化及び底部における根の出現の推移より, 球茎の休眠の様相を明らかにすると共に, これらの球茎を異なる時期より低温処理に移し, いつから低温感応が可能であるかを調べた.<br>2. 室温下に貯蔵された無処理の球茎では, 8月31日に最上腋芽で葉の分化が再開し, 引き続いて根の出現が認められ, この段階の球茎を14&deg;C下で置床すると速やかな発芽がみられた. これに対し, 無処理球に比べエチレン処理球では2週間, くん煙処理球ではほぼ6週間,より早い時期に同じ状態に達することが認められ, 両処理, とりわけくん煙処理による顕著な休眠打破効果が確かめられた.<br>3. このように休眠程度の異なる球茎を種々の時期より, 10&deg;C湿潤5週間の低温処理に移したところ, 低温処理終了時における発芽及び花芽分化は共にくん煙処理球で最も進み, エチレン処理球, 無処理球の順であった.これらの低温処理球の開花をみたところ, くん煙及びエチレン処理球ではそれぞれ8月17日, 8月31日低温処理開始において全個体開花し, 完全な低温感応が認められたが, 無処理球では最も遅い9月14日の処理開始でも開花率が86%にとどまった.<br>4. これらの結果, 低温処理開始可能時期は室温下に貯蔵した球茎の最上腋芽における葉の分化再開時期よりも2週以上遅く, 根の突起がほぼ全個体で認められた時期に一致することが確かめられた.
著者
蛭田 正
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.294-304, 1935

1. 筆者は關東州に於て, マンシウズミ外3種砧木に接木せる苹樹の根群比較調査を試みたれば, 茲に其結果を發表せんとす。<br>2. 苹樹の根群は其砧木に依つて個有の形質を現はす。<br>3. T-R率はマンシウズミを砧木とせるもの最も高く1.5, 次はマルバカイドウ砧のものが0.9オホバズミ及コバズミ砧のものは0.7前後なり。<br>4. マルバカイドウ及マンシウズミ砧木の苹樹は深根性にして最深部は2m60cmに達するも, オホバズミ及コバズミ砧木の苹樹は淺根横張性にして,僅かに1mに達するものあるのみなり。而してマルバカイドウ砧苹樹は最も深根性なるも, 深層に達する根量及分布範圍狹く, 且全細根量少きため, 養水分吸收上, 又は寒氣及乾燥抵抗力の點より見ればマンシウズミ砧苹樹が遙かに優るものと認む。<br>5. 苹樹砧木價値よりみれば4種の内マンシウズミが最も優れ, 次はマルバカイドウにして, オホバズミ及コバズミは矮性を目的とする場合の外價値無し。
著者
横尾 宗敬 松尾 平 岩佐 俊吉
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.235-243, 1962
被引用文献数
1

モモの整枝を行なう際に, 主枝の間隔をあけて出すと下部主枝が優勢になりやすく, 3本の主枝を均斉に作るのは容易でない。従つて, この原因を明らかにし, 主枝形成のよい方法を見出すために1955年から1961年までこの研究を行なつた。<br>1. 主枝間差の判定には, 主枝間最大差% (3主枝間断面積最大差/3主枝総断面積&times;100) を算出して行なつた。<br>2. 主枝間隔をあけて出した場合には, 下の方の主枝が大きくなるが, 車枝の場合は必ずしも下の方から出た主枝が大きくなるとは限らず, 主枝間差も少ない傾向があつた。<br>3. 第2年目には主枝の大きさの順位の変つたものがあり, 第2主枝が大きくなる傾向があつた。深耕してあるものは第1主枝の大きいものの割合が少なくなり, 主枝間差の顕著に回復するものもあつたが, 無深耕のものは依然として第1主枝の大きいものの割合が多かつた。<br>4. 定植前細根を切去したものは主幹の下の方からの枝が多く伸び, 上の方からの枝は少なかつた。断根しなかつたものは関係が逆であつた。<br>5. 台木を実生し居接をかけて直根の発達した樹では主枝間差を非常に少なくすることができた。<br>6. 遅植, 追肥, 断根の処理から, 主枝間差の原因として, 発根が遅れ, ある時期以後根が急激に伸び, これが栄養供給の不均衡を起こすことが考えられ, その後の試験の結果, 3月下旬移植したものはその後2か月位は根が動かず, その後急激に伸長を始め, 6月下旬に大部分の根が動くのを認め, これを7月初旬からの急激な主枝間差の発現の大ぎな原因と考えた。<br>7. 実生台木に居接したモモの直根は, その年の終りまでは明らかに認められたが, 2年目の終りには側根の発達が著しく, 認められなくなつていた。<br>8. 深耕を行ない実生台木に居接し, 整枝した場合にも, 下部主枝優勢性は現われる。しかし, 満足な主枝形成のためにはこの方法が唯一の方法と思われる。<br>9. 土壌条件の悪い場合には, 2本主枝にし, これから1本ずつ亜主枝を出すようにして, 4本主枝を出す整枝が合理的ではないかと考えられる。
著者
新居 直祐
出版者
園藝學會
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.160-170, 1980
被引用文献数
2 11

カキ果実 (品種富有) の肥大生長を解析するために, 果径と果実重の生長速度及び相対生長率の季節的変化並びに果柄部維管束の発達過程について調査を行った.<br>生長速度からみて, カキ果実の肥大生長は2重のS字曲線を描いた. 第1期生長期 (開花期~8月上旬) では果径肥大の生長速度の上昇とピークに達する時期が, 果実重より数週間早く, また生体重増加の生長速度が乾物重増加のそれより約1週間早かった. 第1期の果径生長期には, 果実の水分含有率が高まり, 7月中&bull;下旬の果実生体重の増加期には乾物率の低い期間が続いた. なお, 開花直後の2週間は乾物率の高い期間があったが, これはこの時期, 果肉中に占めるタンニン細胞の密度が高いことと関連していた.<br>第2期の生長停滞期には, 果実は乾物率が高まった. また種子重並びに種子の乾物率は, 顕著に増大した.<br>第3期生長期では, 果実は急速に肥大して果実重が増大するとともに, 乾物率も増加を続けた.<br>果径肥大の生長速度は第1期が第3期より高く, 生体重については第1期と第3期でよく類似し, 乾物重では第3期で顕著に高かった.<br>6月から7月の果実発育の初期には, 種子と果実重との間に高い正の相関関係がみられたが, 1果実中に含まれている種子数別にみた果実の肥大曲線には著しい相違はみられなかった.<br>果径と果実重の開花後の相対生長率 (RGR) のピークは開花後数日間にみられ, その後しだいに低下し, 第3期にわずかに高まった.<br>果柄径の肥大は第1期で著しく, 8月中旬まで肥大が続き, その後はほぼ一定となった. 果柄部横断面の維管束の発達状況をみると, 開花約1か月前にすでに維管束の分化がみられたが, 道管, 師管の発達程度はまだ小さかった. その後開花期にかけて道管数, 道管径並びに師管, 随伴細胞の分化, 発達も著しくなり, これらの生長は開花4週目ごろまで顕著であった. 果実生長の第2期には維管束の発達も停滞する傾向がみられたが, 果実生長の第3期になるころより再び木部, 師部の発達がみられるようになり, 果実の肥大生長とよく対応していた.
著者
高橋 郁郎 花澤 政雄 染矢 泰
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.92-98, 1937

遺傳質の平等な樽植又は鉢植の温州蜜柑樹を用ひ, ボルドウ合劑及石灰硫黄合劑撒布が, 蜜柑の品質に及ぼす影響を試驗し, 大要次の如き成績を知り得た。<br>1. ボルドウ合劑の撒布は, 蜜柑の着色を遲延せしめ, 其の濃度を淡くし,特に果梗部附近の色を不良ならしむ。<br>2. 石灰硫黄合劑の撒布は, 蜜柑の着色を促進し, その色を濃厚ならしむ。<br>3. ボルドウ合劑の撒布は, 果皮の割合を増し, 果皮と果肉の間に緩みを生ぜしめ, 果汁中の酸を増し, 糖分を減じて品質を損す。<br>4. 石灰硫黄合劑の撒布は, 果皮の割合を減じ, 其の質を脆くし, 果皮を果肉に密着せしめ, 果汁中の酸を減じ, 糖分を増し, 品質を上進す。<br>5. 果汁の酸の變化は, 初夏よりも秋期の撒布に多く, 糖分量の相違は初夏の撒布と秋期のそれとの間に大差なく, 撒布囘數多き程著しきを見た。<br>6. コロイド銅劑の使用は, ボルドウ合劑の如き不良影響無きを認めた。本試驗の詳細なる記載は「靜岡縣の柑橘」昭和12年5月號及び6, 7月號に連載する。
著者
苫名 孝
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.117-124, 1961

1.リンゴ品種紅玉の貯蔵果実について窒素含量および採収時期の差異がジョナサン・スポットの発生に及ぼす影響を調査した。<br> 2.スポットの発生の多い個体は一般に果皮および果肉に窒素を多く含んだ。特にこの関係は施肥試験においても認められ,燐酸欠除・窒素多用区では葉内および果肉内の窒素含量が最も多く,スポットの発生が著しかつた。<br> 3.また,一般に,比較的早期の採収果にスポットの発生率が高かつた。特にスポット発生の多い燐酸欠除・窒素多用区でもこの傾向は強く,10月末の採収果にはほとんど発生しなかつた。<br> 4.紅玉果実の生長に伴なう窒素含量の分布および消長をみた。その結果,種子の発育期を終り果実の最大容積増大期に入ると,特に果肉内の窒素含量(絶対量)は急増した。
著者
橋永 文男 長谷川 信
出版者
園藝學會
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.227-229, 1989
被引用文献数
12

スダチ種子中のリモノイド組成とその含量をUV検出器を備えた高速液体クロマトグラフを用いて分析した.<br>主要なスダチ種子のリモノイドはリモニンで新鮮種子1g当たり2.53mg (全リモノイドの50.3%) であり,つづいてイチャンゲンシン, デアセチルノミリン, ノミリンが多く, さらに少量のイチャンギン, オバクノンが含まれていた. また酸性リモノイドとしてはノミリン酸,デアセチルノミリン酸, イソリモニン酸が認められた.<br>イチャンゲンシンはイーチャンチーのみに特異的に存在するリモノイドであり, スダチ種子がこれを含有していたことはスダチがイーチャンチーを祖先にもつ雑種であるか, あるいは極めてこれに近い品種であることを裏付けるものである. またイチャンゲンシン等のリモノイドはカンキツの分類学に化学的指標の一つとして利用可能であることを示した.
著者
伊東 卓爾 岩田 隆 緒方 邦安
出版者
園藝學會
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.223-230, 1972
被引用文献数
3

前報で, むきエンドウおよびソラマメが, 外観的にも食味の点でも低温要求度が強く, 収穫当日から0&deg;C付近の低温下で貯蔵する必要のあることが判明した. 本実験は, 食味からみた品質変化の実態と品質低下に関する成分的要因について調査したものである.<br>エンドウおよびソラマメは収穫後, ただちに, 有孔ポリエチレン袋詰めとし貯蔵した. 温度処理区は, 1&deg;C, 6&deg;C, および20&deg;Cを基本とし, 冷蔵遅延区, 冷蔵解除区, 変温区などを設けた.<br>1. エンドウの食味について対比較嗜好試験を行なつたところ, 20&deg;Cでは1日で明らかな食味の低下がみられた. 6&deg;Cでも食味低下はかなり急速であつた. 冷蔵遅延区, 1&deg;C貯蔵から20&deg;Cへの昇温, 変温 (1&deg;C〓6&deg;C) などはいずれも食味の低下を早めた. ソラマメでもほぼ同様の傾向を示した.<br>2. エンドウおよびソラマメともに1&deg;C貯蔵では, 貯蔵前半において全糖含量の増加の傾向がみられた. これに対して20&deg;Cでは貯蔵後1日で1/4~1/2に激減し, 6&deg;C, 10&deg;Cでも数日のうちに急減した. 初期の低温を少し緩和した区 (6&deg;C2日&rarr;1&deg;C), 冷蔵を遅らせた区 (20&deg;C1日, 2日&rarr;1&deg;C) では一たん減少した糖が, 1&deg;Cに変温されると漸次回復した. 冷蔵を中断した区 (1&deg;C11日&rarr;20&deg;C, 25&deg;C) では昇温後1日で急激に減少した. 変温区 (1&deg;C〓6&deg;C) では初期は1&deg;Cと6&deg;Cの中間の値を示したが漸次6&deg;Cに近づいた.<br>3. 中性および酸性アミノ酸含量を測定したところ, エンドウおよびソラマメともに, アラニン&bull;グルタミン酸区分&bull;パリンなどが多く含まれていた. 20&deg;C区ではほとんどのアミノ酸に急激な減少がみられた. アラニンの例では, 20&deg;C2日でエンドウでは1/12, ソラマメでは1/5となつた. 1&deg;Cでは減少の速度はかなり抑制されたが, 6&deg;Cでは不十分であつた.<br>4. ソラマメ切片に, Sucrose-U-<sup>14</sup>C および Alanine-U-<sup>14</sup>C を吸収させ20&deg;Cに保つと, アルコール不溶残さに急速にとり込まれた. 前者はでん粉, 後者はたんぱく質に変わるものと思われる. この変化の速度は, 前述の全糖, アラニンの減少とほぼ一致した. アルコール可溶性区分にもある程度とり込みがみられた.<br>2. 20&deg;Cでは急速に硬化が起こり, 食味の低下を招いた. 1&deg;Cではかなり長期にわたつて硬化を押えることができる. カード&bull;メーターによる測定値は, エンドウでは食味とかなり平行した結果が得られたが, ソラマメでの相関性はよくなかつた.<br>6. エンドウおよびソラマメの急激な食味の低下は, 糖およびアミノ酸含量の減少ならびに硬化の三要因によるところが大きいと思われる. これを防ぐには, 収穫直後からできうる限りの低温処理が必要である.
著者
萩屋 薫
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.165-173, 1952
被引用文献数
1

1. すの發現機構を明かにするため大根の品種間に於けるすの發現の難易性を調査し, それに關連を有する形質を檢討したるに大要次の如き結果を得た。<br>2. すの發現は一般に早生でT/R率の降下が早い品種ほど著しく, 晩生で根部の肥大がおそい品種にはすが入り難い。<br>3. 内部形態的に見ると根肥大に伴う組織的變化が早く柔組織が發達しその細胞も大形であるような品種にはすが入り易く之と反對の傾向を持つた品種ではすが入りにくい。<br>4. 根肥大の晩い品種は一般に根に澱粉を有し又可溶性物質の含量も高いが, すの入る早太りの品種は澱粉無く糖を有し, 可溶性物質の含量も低い。<br>5. すの發現はいずれの品種に於てもT/R率が最低を示す時期にあたる。この時期には根の組織の充實度が最も低下する。<br>6. すの分布状態は品種によつて異なるが, それは主として根身内の通導組織の分布状態が品種により異なるためと考えられる。<br>7. すの發現は根の生長が旺盛で葉の同化能力以上に急激に根肥大が行われるため充實が之に伴わず起るものと考えられる。<br>8. 根の肥大は早くてもその充實がよい時無のような品種はすが入り難い。之には地上部の同化能力が大なることが少くとも1原因となると考えられるが, 何れにしてもこの種の品種は耐鬆性大根の育種上に意義を持つものと考えられる。
著者
萩屋 薫
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.68-77, 1958
被引用文献数
2

1. The present studies were carried out to investi-gate the heredity of the occurrence of pithy tissue, and that what correlation would be seen between its occurrence and the other physiological characters shown in the descendants of varietal hybrids in radish.<br> 2. When the growth of 20 F<sub>1</sub> hybrids crossed among 7 varieties, differing in easiness of the occur-rence of pithy tissue, was examined, it was found that the characteristic of the parents were fairly conspicuously inherited to F<sub>1</sub>, in such characters as eaf number, leaf weight, root weight, T/R ratio, concentration of soluble matter in root sap, size of xylem parenchyma cell of root, content of starch in root, etc. In these cases, the greater part of the F<sub>1</sub> combinations surpassed the average of parents in many characters, but in comparing with the parents which retained heavier root weight, the F<sub>1</sub> combinations superior to the parents were not so many.<br> 3. Such a definite tendency as the F<sub>1</sub> is much easier or harder of the occurrence of pithy tissue than the parent varieties, could not be found, and in any combination the F<sub>1</sub> showed the resembling average value of the parents on its occurrence, and the influence of the vigor of hybrid on the occurrence of pithy tissue was not recognized.<br> 4. The occurrence of pithy tissue in varieties of F<sub>1</sub> and their parents was highly correlated with the concentration of soluble matter in root and size of xylem parenchyma cell of root, and slightly with content of starch in root, but there could not be found distinct correlation with root weight and T/R ratio. Those results indicate the possibility of breeding such lines as resistant to the occurrence of pithy tissue regardless early growth or rapid growth of corpulency of the root. For this purpose it must be suitable to use as the parents such va-rieties as &ldquo;Eichin&rdquo; and &ldquo;Tokinashi&rdquo; of which the capacity of assimilation of the top is great and the roots become fully replete.<br> 5. In the individual investigation of the growth of the F<sub>2</sub> which were produced from 3 combinations, in which the &ldquo;Eichin&rdquo; was crossed with other va-rieties differring in easiness of the occurrence of pithy tissue, a remarkable segregation of all cha-racters has been observed in every combination. The occurrence of pithy tissue of the individual F<sub>2</sub> was correlated with concentration of soluble matter, size of xylem parenchyma cell, and content of starch in root, but had no relation to the root weight or T/R ratio with one exception, as in F<sub>1</sub> generation.<br> 6. These facts reconfirmed the author's consider-ations, as it was described in the last report, that the occurrence of pithy tissue may be ascribed to, the abrupt corpulency which does not catch up the-fullness of roots, and also that its occurrence in F<sub>1</sub> and F<sub>2</sub> was highly correlated with the physiological-characters shown in the previous reports, even when the inheritance was utterly disturbed and genes were recombined by means of the varietal crossing as in this investigation.<br> 7. The inheritance of the occurrence of pithy-tissue may not be due to the existence of special-factors which directly determine its occurrence, but rather it may be indirectly inherited to the-descendants in accompany with the inheritance of many other characters such as responsible to pro-voke the unbalanced growth of the root corpulency, . as mentioned above.<br> 8. In breeding of resistant varieties to the occur-rence of pithy tissue, it is necessary to select the. resistant individuals from the young mother plants as accurately as possible as in case of selecting the-ones in their maturing stage. As an effective method to achieve this purpose it is suggested that selection of the individuals which contain high percentage of soluble matter
著者
小机 ゑつ子 水野 進
出版者
園藝學會
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.435-441, 1989

タケノコ先端部 (A区分) 及び基底部 (D区分) の各組織切片に D-グルコース-U-<sup>14</sup>C 及びシキミ酸-G-<sup>14</sup>Cを取り込ませ3, 6, 9, 21時間反応させたのち, 各画分に取り込まれた<sup>14</sup>Cの活性を測定し, タケノコに多量に含まれるチロシンの合成及び利用について検討した.<br>1. タケノコ組織に取り込まれたグルコース-U-<sup>14</sup>CはA区分では全活性の11.4% (3時間後) から13.6%(9時間後), D区分では16.4% (3時間後) から52.5% (9時間後) がアルコール不溶性残渣に移行した. アミノ酸画分へは9時間後にA区分で4.1%が, D区分で12.8%が取り込まれた.<br>2. グルコース-U-<sup>14</sup>Cはすべてのアミノ酸へ取り込まれたが, 最も活性の高いのがアラニンであり, 次いでr-アミノ酪酸, グルタミン酸であった. チロシン及びフェニルアラニンに取り込まれた活性はアミノ酸画分に対して各々0.6~7.8%及び0.7~4.8%であった.<br>3. 取り込まれたシキミ酸-G-<sup>14</sup>Cの総活性のうちA区分では反応時間を通して約20%が, D区分では約10%がアミノ酸画分に移行し, その他の画分への移行はわずかであった.<br>4. シキミ酸-G-<sup>14</sup>Cはチロシン及びフェニルアラニンに効率良く取り込まれ, 21時間後には総活性の12%(A区分) から8% (D区分) がチロシンに, 同様に10% (A区分) から6% (D区分) がフェニルアラニンに取り込まれた.<br>5. リグニンアルデヒドへの移行はグルコース-U-<sup>14</sup>Cの場合, 9時間後に総活性の0.36% (A区分) から0.98% (D区分) が, シキミ酸-G-<sup>14</sup>Cでは21時間後に0.82% (A区分) から2.15% (D区分) であった.<br>6. シキミ酸G-<sup>14</sup>Cからホモゲンチジン酸へ取り込まれた<sup>14</sup>Cの活性は非常に少なく21時間後で総活性の0.1から0.2%であった.<br>7. 本実験結果よりタケノコ組織に存在するチロシンの生成はグルコース及びシキミ酸を前駆体とするシキミ酸経路によるものと推定される.
著者
小又 昭彦 蓬田 勝之 中村 祥二 太田 忠男 井澤 靖子
出版者
園藝學會
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.429-434, 1989
被引用文献数
1 7

ツバキ属の花の香気成分について解析を行ったところ以下の結果を得た.<br>1. ツバキ属の花の香気成分として, Linalool oxide のフラン体とピラン体, Linalool, Methyl benzoate, Methyl salicylate, Phenyl ethyl alcohol, Benzaldehyde Benzyl alcohol, Acetophenone を解析した.<br>2. これらの花の官能評価結果とヘッドスペース成分分析結果よりツバキ属の香気を4つに分類することができた.<br>3. 香気分類と形態的分類との間には相関が見られ, 成分的に見ると, Acetophenone はサザンカ節特有の成分であることがわかった. また香気からもハルサザンカは, ヤブツバキとサザンカの自然交雑種であることを裏付けていると思われた.
著者
番場 宏治
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.368-378, 1968
被引用文献数
7

花ユリで見られる色素構成を解明するために, 21種類の花ユリについて花被に含まれるカロチノイドを呈色反応, T.L.C., カラムクロマトグラフィー, 吸収スペクトルおよび分配の諸方法を用いて定性的に調査し, 以下の結果を得た。<br>1. 21種類の花ユリのうち, 18種類にカロチノイドが存在し, それらは&beta;-カロチン, クリプトクサンチン, エキニノン様カロチノイド, ゼアクサンチン, カプサンチンおよびカプソルビンの6種であつた。<br>2. 黄花ユリは&beta;-カロチン, クリプトクサンチンおよびゼアクサンチンにより黄色に色彩発現していた。<br>原種の橙花ユリは, その色素構成により二つのグループにわけられた。一つはエキニノン様カロチノイドにより橙色に色彩発現しているグループで, これに属する花ユリは2種類あつた。他はカプサンチン&bull;カプソルビンにより橙色に色彩発現している種で, この色素をもつ花ユリは5種あつた。<br>3. 二つの交配種ではエキニノン様カロチノイドもカプサンチンカプソルビンも共存して, 赤色系に色彩発現していたが, これは種の成立過程で両グループの原種が交雑されていることを示唆している。<br>4. オニユリを除く赤色系花ユリの原種では橙色カロチノイドとアントシアニンは共存せず, いずれか一方の色素により色彩発現をしているが, 交配種ではこの規則性は失われ両色素が共存していた。<br>5. 花ユリの交雑親和性-特にアントシアニン系グループとカロチノイド系グループとの親和性-と花色を構成する色素の種類との間には絶対的な関連性があるとは思われなかつた。
著者
渋川 潤一 相馬 盛雄 泉谷 文足 宇野 登喜
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.81-88_1, 1958

Studies on the nutrient deficiencies of N, P, K, Ca and Mg in one-year old apple trees (varieties: Jonathan, Ralls and Indo) and in apple seedlings (seedlings of Jonathan and Indo) were carried out using sand culture method in 1954.<br> Nutrient deficiency symptoms and the contents of nutrient elements in the leaves showing symptoms were summarized as follows.<br> 1. Deficiency symptoms Nitrogen deficiency: Lack of nitrogen in the cultural solution resulted in the smaller leaves and the slower terminal growth of the apple trees very quickly. Leaves showed pale yellowish green color, but were neither scorched nor burned. Reddish coloring started on the older leaves and proceeded toward the younger ones, and finally terminal leaves turned to reddish brown.<br> Phosphorus deficiency: Phosphorus deficiency expressed itself in abnormally smaller size of the eaves and slenderness of the new growth. Foliage color was dark green, and later in the season it turned to bronze with purple or brown spottings, or to dull dark purple.<br> Potassium deficiency: Deficiency symptom of potassium appeared on the basal leaves of the current growth at first, and proceeded upwards as the time advanced. Terminal leaves, however, remain-ed normal. Slight marginal chlorosis of grayish yellow green color was followed by marginal scorching. The scorched area of grayish brown color extended into the body of the leaf in some cases.<br> Calcium deficiency: Visible symptom of direct calcium deficiency was not so easily distinguishable as in the cases of other elements. Margin of basal leaves was discolored and burned, its color changing to medium or dark brown.<br> Magnesium deficiency: Symptom appeared on the basal leaves of the current growth at first, and proceeded to younger ones. Prominent feature was yellowing of leaf margin and interveinal portions. Then those portions showed necrosis, and turned to brown. Many of the dead tissues were colapsed finally, as their size grew larger. Basal leaves were defoliated prematurely.<br> 2. The nutrient contents in the leaves which showed the visible deficiency symptoms were as follows:<br> Nitrogen 1.5_??_2.0%, Phosphorus 0.09_??_0.13%, Potassium 0.6_??_1.0%, Calcium 0.6%, Magnesium 0.20_??_0.29%, respectively.
著者
橋永 文男 伊藤 三郎
出版者
園藝學會
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.485-492, 1983
被引用文献数
1 4

ハッサクとブンタン果実を1か月おきに採収し, 部位別にリモノイド含量を測定した.<br>1. ハッサクの果肉のリモノイドはリモニンが主成分であり, 9月に50ppmを示した. 果肉とじょうのう膜のノミリンは8月に最も濃度が高く (20ppm く 500ppm), 以後急減した. 種子ではノミリンが10月に, またリモニンが11月に最高値を示した.<br>2. ブンタンはフラベド以外のすべての部位でノミリンが他のリモノイドに比べて多く, とくにアルベドとじょうのう膜では顕著であった. じょうのう膜のリモニンはデオキシリモニンと同じ含量を示しながら変動した. 種子では種核のリモノイドの方が種皮より顕著に高く, 12月に最高値を示した.<br>3. ブンタンの個体当たりのリモノイド含量は最高200mgに達した. 種子のリモノイド濃度は高いにもかかわらず, 種子重が少ないため, その含量はアルベドやじょうのう膜より少なかった. 両果実とも各部位でノミリンのピークのあと1か月でリモニンのピークが現れることが明らかになった.
著者
杉浦 明 原田 久 苫名 孝
出版者
園藝學會
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.303-309, 1977
被引用文献数
2 9

前報に引きつづき, 平核無について花蕾期より7月下旬までの間, 樹上でのエタノール処理が脱渋とその後の渋味の再現, および果実の形質等に及ぼす影響を調べた.用いたエタノール濃度は5%で, 5mlあるいは10mlずつポリエチレン袋に入れて, 花蕾あるいは果実を樹上で被袋処理し, 脱渋を確かめたうえで除袋した.<br>1) 7月下旬の処理果実を除いて, 除袋後1~2週間ぐらいの間に可溶性タンニンが再現し, とくに処理時期,が早いほど再現の程度が大きかった. また, 6月中下旬までの処理果実ではほぼ果肉全面が渋味を呈したが, それ以後の処理果実では果てい側半部あるいは果てい部のみに渋味の再現があった.<br>2) 収穫果 (9月18日) について褐斑の発生状態をみると, 渋味が果肉全面にあらわれた処理果実では褐斑は殆どみられないか, あっても果頂部付近にわずかに局在している程度であったが, 6月末以降の処理果実では渋味の再現した果てい部を除いて果肉全面に強い褐斑がみられた.<br>3) 脱渋処理の時期によって果形や果実の肥大にかなりの影響がみられた. すなわち, 概して早い時期 (5月中旬から6月中旬まで) の処理では果形が扁平になる傾向を示し, また, 強い褐斑を呈するようになった果実(6月末処理) を境にして横径生長の著しい抑制がみられ, 果形にも大きなヒズミを生じた. しかし, 処理時期がさらに遅くなるにつれて横径生長の抑制は徐々に弱まり, 7月末の処理果実では果実の大きさ, 果形ともに無処理果実と変わりないくらいに復した.<br>4) 渋味の再現との関連で, 果肉細胞の分裂を調べたところ, 開花後の分裂の最盛期は5月末から6月上旬にかけてであり, 6月下旬には殆ど停止していた. また,分裂細胞はもっぱら果実中部から果てい部にかけて分布していた. 脱渋処理は一時的に分裂を抑制したが, すぐに回復した.<br>5) 脱渋処理時期によってみられた渋味再現の様相について若干の考察を行なった.
著者
梶浦 一郎
出版者
園藝學會
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.301-311, 1972
被引用文献数
1

リンゴ紅玉と国光果実に及ぼす炭酸ガス濃度の影響を4&deg;C下と20&deg;C下とで調査した. 炭酸ガス0,1,3,5, 10ならびに20%, 酸素16.8~21%を含む混合ガスを常時通気し, 各炭酸ガス濃度区とも紅玉では15個, 国光では10個ずつ調査した.<br><b>紅玉</b><br>1. 4&deg;C下では果皮地色の黄色化が炭酸ガス10%以. 上で抑制され, 果肉の軟化は5%以上で抑制されたが, 果肉かつ変果では軟化が著しかつた. 滴定酸度は処理中減少し, 20%区で顕著だつた. また酸素吸収量も20%区でやや抑制された. 食味は3%以下では淡白になり, 10%区はフレーバーが脱け, 20%区は異臭が生じ, 5%区が良好であつた.<br>2. 20&deg;C下では黄色化が3%以上, 軟化と減酸ならびに酸素吸収量は5%以上で抑制された. また食味も5%以上でフレーバーが脱け, 20%区では異臭が生じた.<br>3. 4&deg;C下では20%区で2種のかつ変が生じ, 5, 10%区の一部の果実にも軽い症状が見られた. (1) 濃かつ変が心皮組織中央より発生し, 果肉に拡大する. (2) 果実の肩がかつ変し, 上述のかつ変と併発する場合が多かつた. 20&deg;C下では20%区で一部の果実のほう線上に乾燥して空胴のある淡かつ斑が生じた.<br><b>国光</b><br>1. 4&deg;C下では黄色化が1%以上, 軟化が3%以上で抑制されたが, 20%区のかつ変部は著しく軟化した. 滴定酸度は減少し, 10, 20%区で顕著だつた. 食味は0, 1%区では粉状質になり, 20%区では異臭が生じ, エタノール蓄積も見られた. また3~10%区ではフレーバーが脱け, 高濃度下ほど著しかつた.<br>2. 20&deg;C下では黄色化は1%以上, 軟化は3%以上で抑制され, 20%区のかつ変部は軟化した. 滴定酸度の減少は20%区のかつ変部で著しかつた. 食味は0~3%区で粉状質になり, 10%以上で異臭が生じた.<br>3. 4&deg;C下では1%以上の区で心皮組織中央より淡かつ変が生じ, 果肉に拡大し, 高炭酸ガス下ほど顕著だつた. 20&deg;C下では果心内背管束付近が淡かつ変し, 果肉に拡大するとともに空胴が生じた. 5%以上の区で見られ, 高濃度下ほど著しかつた.<br>4&deg;C下の本実験より貯蔵に適した炭酸ガス濃度は紅玉では5%付近と思われたが, 国光ではかつ変発生のため不明確だつた. より明確な貯蔵効果を得るにはかつ変を防止するとともに低酸素との組み合わせが必要と思われた. 温度とかつ変, 最適炭酸ガス濃度, 炭酸ガス感受性の品種間差について考察した.