- 著者
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安田 英之
宇井 美樹
- 出版者
- Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
- 雑誌
- 日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.10, pp.1475-1479, 1992
- 被引用文献数
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6
4
優れた口腔用消臭剤の開発を目的とし,バラ科植物抽出物を対象に,試験系として口腔内を想定して,水系(緩衝液のみを使用)で消臭試験を行い,その結果,次の点が明らかになった.<br> (1) メチルメルカプタンに優れた消臭効果を示したバラ科の植物抽出物はブラックベリー,ラズベリー,ローズ,ワイルドストロベリーの水または50%エタノール抽出物であり,既存のSCCおよび緑茶カテキン類よりも優れた消臭効果を示した.<br> (2) メチルメルカプタンに対する消臭効果はpHによる影響が大きく,pHが酸性側ほど効果が低く,アルカリ性側ほど高い消臭効果を示した.<br> (3) ラズベリー水抽出物において脱精油した植物抽出物の消臭効果は精油を除去しないものと比較して差が認められなかった.<br> (4) ラズベリー水抽出物中の消臭活性成分はポリフェノール化合物であり,これは主としてエラーグタンニンであることが推定された.