著者
宇井 美樹 安田 英之 柴田 柾樹 丸山 孝 堀田 博 原 利男 安田 環
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.1098-1102, 1991
被引用文献数
17

緑茶より抽出精製したカテキン類の口臭抑制効果を判定するため,CH<SUB>3</SUB>SHに対する消臭力,及び唾液にカテキン類を添加し,L-Metと共にインキュベート後発生したCH<SUB>3</SUB>SHを定量し,そのCH<SUB>3</SUB>SH産生抑制効果を測定した.また,カテキン類を添加したチューインガムを試作し,そのCH<SUB>3</SUB>SH産生抑制効果を判定した結果,以下の結論を得た.<BR>(1) カテキン類は強いCH<SUB>3</SUB>SH消臭力を有し,この効果は,従来より口腔内消臭剤として汎用されているSCCの効果をかなり上回るものであった.<BR>(2) 緑茶に含まれる4種のカテキンについて消臭力の測定を行った結果,その効果は,EC<ECg<ECG<EGCgの順に優れており,構造と消臭効果との相関関係が示唆された.<BR>(3) 唾液にカテキン類を添加し,これを24時間インキュベートした結果,L-Metを基質としたCH<SUB>3</SUB>SHの発生はコントロールと比較して,著しく抑制された.また,この効果はSCCの効果よりも強かった.<BR>(4) カテキン類を添加したチューインガムを試作し,唾液のCH<SUB>3</SUB>SH発生量を指標として,その口臭抑制効果について評価を行った結果,カテキン0.01%添加ガム咀嚼後においても,CH<SUB>3</SUB>SH発生は顕著に抑制された.<BR>以上のことからカテキン類は,口臭原因物質として注目されているCH<SUB>3</SUB>SHに対し,優れた消臭作用とその産生を抑制する作用を持つものと推定された.また,カテキン類を添加したチューインガムは,口臭抑制の目的で効果的であると考えられた.
著者
安田 英之 宇井 美樹
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.1475-1479, 1992
被引用文献数
6 4

優れた口腔用消臭剤の開発を目的とし,バラ科植物抽出物を対象に,試験系として口腔内を想定して,水系(緩衝液のみを使用)で消臭試験を行い,その結果,次の点が明らかになった.<br> (1) メチルメルカプタンに優れた消臭効果を示したバラ科の植物抽出物はブラックベリー,ラズベリー,ローズ,ワイルドストロベリーの水または50%エタノール抽出物であり,既存のSCCおよび緑茶カテキン類よりも優れた消臭効果を示した.<br> (2) メチルメルカプタンに対する消臭効果はpHによる影響が大きく,pHが酸性側ほど効果が低く,アルカリ性側ほど高い消臭効果を示した.<br> (3) ラズベリー水抽出物において脱精油した植物抽出物の消臭効果は精油を除去しないものと比較して差が認められなかった.<br> (4) ラズベリー水抽出物中の消臭活性成分はポリフェノール化合物であり,これは主としてエラーグタンニンであることが推定された.