著者
時友 裕紀子 小林 彰夫
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.17-22, 1988
被引用文献数
1 3

(1) アズキを煮熟した際感じられる独特の甘く香ばしいにおいについて検討する目的で,北海道十勝産のアズキのにおい濃縮物を連続水蒸気蒸留抽出法にて得,シリカゲルカラムクロマトグラフィー, GLCおよびGC-MS分析により,各種におい成分を検討した.<br> (2) におい濃縮物は甘く香ばしいアズキらしいにおいを有しており, 0.8~0.9mg%の収率であった.音更シュウズ,ハヤテショウズの2品種のにおい成分を比較したが,においの構成成分およびその量比に顕著な違いは認められなかった. 2品種のにおい濃縮物,および音更ショウズのにおい濃縮物のシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって得られた各画分を分析した結果,あわせて70化合物を同定および推定した.それらは,炭化水素14種,アルコール22種,カルボニル化合物15種,カルボン酸2種,フェノール7種,フラン5種,ラクトン2種,含窒素化合物3種であった.<br> (3) 上記のにおい物質のうち,豆臭を有する1-hexanol, 3-methyl-1-butanolなどのアルカノール,甘いにおいに寄与すると考えられる芳香族アルコール,フラン,ラクトン,甘い香気を増強すると考えられるフェノール化合物,および,含有量が多くカラメル様芳香を有するmaltolが,アズキの煮熟臭成分として重要であると考えられた.とくに,アズキの特徴的な甘いにおいには,maltolが大きく関与していることが明らかとなった.

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