- 著者
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池田 謙一
- 出版者
- Japanese Association of Electoral Studies
- 雑誌
- 選挙研究 (ISSN:09123512)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, pp.109-121,188, 2000
本論文は社会心理学的な二つの投票行動モデルに基づき,1998年の参院選比例区での投票行動に対して,96年の政党スキーマ,98年の政治•経済の状況に対する「ソシオトロピック」な判断•内閣業績評価が及ぼす効果を検討したものである。用いたデータは1996-98年のJEDS全国パネル調査であり,分析の結果は仮説に支持的であった。<br>ここでは,業績評価が社会心理学的な視点から持つ意味,また業績評価や投票行動の規定要因としてのソシオトロピックな判断の持つ意味を検討し,これらを踏まえて分析が行われ,業績評価が投票行動に効果を持つことが明瞭に示された。一方,ソシオトロピックな判断は内閣の業績評価に対しては米国と同様の効果を示したものの,投票行動に対しては異なる効果を持っていた。これらの結果は,個人の経済状況認知の持つ自己利害的な効果と関連させて考察された。