著者
亀野 淳
出版者
Hokkaido Sociological Association
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-15, 2005

本稿は日本的雇用システムの変化が若年雇用や学歴・学校歴に及ぼす影響について考察したものである。<BR>日本的雇用システムの変化は,そのメリットを否定したわけではなく,むしろメリットを維持するための修正とみるべきである。変化の方向性としては,新規学卒者の採用人数の絞込み,遅い選抜方法の見直し,人材育成における対象者の絞込みや自己啓発への期待などがあげられる。新規学卒者の採用人数の絞込みは,単純に若年者の雇用環境の悪化だけではなく学歴や学校歴による格差が大きくなると見込まれる。また遅い選抜方法の見直しは,選考基準として学校歴がより重視される傾向になると見込まれる。さらに人材育成における対象者の絞込みや自己啓発への期待は,ビジネススクールなどの専門職大学院の対する社会的ニーズは高まると予想されるが,大卒者の相対的地位の低下を招き新たな若年者の雇用問題を発生させるおそれもある。<BR>このように日本的雇用システムの変化は,若年者の雇用環境の悪化や学歴・学校歴による格差を拡大させるおそれがある。したがって今後は正規社員と非正規社員の処遇格差の是正や非正規社員に対する人材育成やマネジメントの必要性が高まる。

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