- 著者
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伊田 広行
- 出版者
- Japan Society of Family Sociology
- 雑誌
- 家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, no.2, pp.13-22, 2003
- 被引用文献数
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結婚を近代主義の発想の枠内で議論しても意味がない。社会が変化しているし, 人権・多様性の尊重の観点から, 新しい水準への移行が望ましいからだ。いま必要なことは, (1) 本質視から脱して, 多様性を受け入れるように, (2) 社会変化からのメッセージを受け止めて, (3) システムを多様な生き方に中立, すなわち反差別的なものに変えることである。これは人間関係を考えるときの基礎である「恋愛」の考察についてもいえる。みんなが「ラブラブ」という「カップル単位」状態を標準とは考えられない。とすれば, 複数の人を愛する問題, 嫉妬, 秘密についても, 根本的な再考察が求められる。シングル単位論の立場では, 二者排他性と嫉妬の権利はなく, 秘密はあってもよいということになる。各人がシングル単位感覚を身につけてこそ, 新しい名のない親密な関係がつくられていくであろう。