著者
吉村 英
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.47-58, 1987
被引用文献数
1

本研究は, 印象を方向づけた情報が, 後にその人物との関連性を否定されるという状況において, 最初の情報の望ましさと, 再判断時に利用できる情報の有無, 及び情報を積極的に解釈するという行為の有無が, 再判断にどのような影響を及ぼすかについて, 検討を行なった。<BR>本研究では次のようなパラダイムを用いた。(1) 先ず意味のはっきりしている情報 (positive又はnegative) とあいまいな情報から印象を形成する。(2) 次に, 意味のはっきりしている情報が, ターゲットと無関係であることが知らされる。(3) 最後に, あいまいな情報だけで, 再びターゲットに対する判断を行なう。<BR>実験Iでは, あいまいな情報だけにもとづいて判断する場合でも, 初めにpositiveな情報を与えられたグループの方が, negativeな情報を与えられたグループより, ターゲットをよりpositiveに判断するという結果が得られた。又, 再判断を行なう場合に, あいまいな情報を与えられず記憶にたよる条件では, 与えられる条件よりも, 印象が変化しにくいという結果も得られた。<BR>実験IIでは, 実験Iで得られた結果を更に詳しく検討するために, あいまいな情報に対する解釈を行なう条件と, 行なわない条件が比較された。初めにpositiveな情報を与えられたグループの方が, negativeな情報を与えられたグループより, ターゲットをよりpositiveに判断するという傾向が, 解釈を行なうことにより促進されるという結果が得られた。又, あいまいな情報を一旦ある方向で解釈すると, 後からそれ以外の解釈を行なうことが困難であるということを示す結果も得られた。

言及状況

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@S_kisaragi そうなんですね。ありがとうございます。「第一印象が大事」みたいな話と何処が違うのかが分かりにくかったです。 たとえば ↓こんなのとか 『対人認知における体制化のメカニズムと印象の残りやすさに関する研究』 吉村 英 京都大学 実験社会心理学研究 27(1), 47-58, 1987 https://t.co/O0UQ82xHyo

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