著者
川西 千弘
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.122-128, 2001

対人認知における顔の影響について検討した。93名の女子学生が実験に参加した。彼女たちには, 刺激人物の行動情報と顔写真 (半分の被験者には知的な顔写真が, その他には非知的な顔写真) が提示され, その人物の印象と知的行動可能性について評定することが求められた。その結果, 以下のことが明らかになった。(1) 前述のいずれの評定においても, 知的な顔と非知的な顔では差が大きく, 知的な顔をした刺激人物の方がより知性が高く, 賢明な行動をしやすいと判断された。(2) 顔のみから推測される知的さについて実験的に統制すると, 上記の差は消失したが, 顔のみから推測される好意度について実験的に操作しても, その差を相殺することはできなかった。つまり, われわれは魅力的な顔の人物だからといってより知性が高いと認知するのではなく, 少なくともその他の対人情報が曖昧であったり, 判断性に乏しかったりする場合は, 顔から直接的に他者の知性を読みとり, それを用いて印象を形成することが明らかになった。

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