著者
奥園 達也
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.2565-2580, 1983
被引用文献数
7 2

著者は, 身体重心動揺の方向性を重視し, 新たに動揺の各規定方向毎の動揺量を表示できるベクトル動揺図 (命名, Vector Statokinesigram; V-Skg. と略) を考案した. V-Skg. は, 重心動揺計の左右及び前後への身体動揺記録 (Statokinesigram; Skg. と略) を用い, 特製プログラムを有するマイクロコンピューターにより作成する, 即ちV-Skg. 上の動揺方向は, Skg. 上単位時間毎移動点, 2点間のΔy/Δxの逆正接より求め, 併せて動揺量は同2点間の距離より求めた. 動揺方向の一計測単位を5度とし, 360度を72分割すれば, 動揺方向毎動揺量の計測値は72個得られる. これを, 極座標上72本の放射状線分として, CRT上に描出した.<br>1) 本法により健康成人29名のV-Skg. を記録した. 動揺の型別は, 求心型, びまん型, 前後型, 多中心型, 左右型の他, 閉眼安定型を加えた. 各型別の総軌跡長, 20度毎18方向別の平均値と標準偏差を求めた. これを健常者の型別, 対照値とした.<br>2) 健康高令者65名のSkg. とV-Skg. を記録した. この型別分類, 総軌跡長及び18方向別の動揺量を求め, 健康成人群と比較した. 身体動揺は加令により増加した. 型別分類では左右型と閉眼安定型の増加が注目された.<br>3) 一側性末梢前庭障害例では左右型の動揺を示す. 動揺量は健康成人群の左右型より有意に大きい.<br>4) 小脳脳幹障害例では前後型の動揺を示すが, 健常群の前後型に比し動揺量は大きい.<br>5) 体平衡障害の代表例2例を呈示した. 本V-Skg. は, 変動する動揺の方向性を明示し, その動揺量を計量し得る方法である.

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