- 著者
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森井 隆三
- 出版者
- THE MAMMAL SOCIETY OF JAPAN
- 雑誌
- 哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, no.5, pp.248-258, 1976
- 被引用文献数
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1
1973年6月9日に, 香川県善通寺市内で採集されたアブラコウモリ (5個体) の出産状況と新産児 (7個体) および胎児 (8個体) について調査した。結果はつぎの通りである。<BR>1. 出産時期は6月9日~13日であった。<BR>2. 胎児数は2~4であり, 平均3.0であった。<BR>3. 胎児および新産児の外部形態における個々の絶対値は変化しているが, 成体に対する全体的なプロポーションは一定のパターンを示したた。<BR>4. 胎児および新産児の頭蓋骨の発達程度は, 外部形態より大きかった。<BR>5. 胎児および新産児の頭蓋骨の縫合は, 後頭部の方が前頭部よりも完成の度合が高かった。<BR>6. 乳歯の萠出は次の順序であった。上下顎とも最初に2本の切歯と1本の犬歯があり, つぎに前臼歯 (dpm1とDPM1) 1本づつが加わった。そして, 下顎に1本の切歯 (di1) が追加され, つづいて下顎に1本の前臼歯 (dpm2) が加わる。最後に1本の前臼歯 (DPM2) が加わる。<BR>7. 乳歯の形態は, di2, di3, dc, dpm1, DI1とDI2の先端は3葉に分かれ, DCはL字型をしており, dpm2, DPM1とDPM2はくさび型であった。di1は先端が2葉に分かれていた。