著者
久野 久
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.13, no.9, pp.836-845, 1937

野外に於ける諸事實に基き,箱根火山體を横斷して第1圖に鎖線で示した位置に一つの構造線を推定し,之を"金時山-幕山構造線"と名附けた。<br> 箱根火山古期外輪山熔岩噴出期の中頃に,本構造線の西北部では東北側地塊が東南部では西南側地塊が夫々反對側地塊に對して隆起し,其の結果火山體は第3圖に示した如き外形を呈するに至つた。又此の運動に伴つて金時山・幕山等の火山體が構造線上に噴出した。<br> 金時山熔岩其の他此の運動後に流出した各種の熔岩は,當時の斜面上の凹所(沈降部)を選んで流下し之を填めた結果,火山の外形は再び比較的凹凸の少いものに變じた。<br> 本火山最後の活動を代表する中央火口丘群も,本構造線に沿ふた弱線を利用して噴出した(第1圖参照)。<br> 古期外輪山熔岩の活動に關係した寄生火山,岩脈等の分布區域は,本構造線の運動によつて沈降した區域と略〓一致して居る事も明かになつた。<br> 本構造線の運動方向は,丹那斷層竝に足柄層の構造と共に,現在本邦本州各地に生ずる地震斷層の運動方向と類似する點が多い。

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