著者
小池 洋一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.33, no.12, pp.615-625, 1960
被引用文献数
4 3

レクリェーションはそれぞれ:地域によつて独自の形態を示すが,とくに都市においてそれがどのような地域的関係を示すか,大阪市を例にとり,主として場所的移動を伴うものにつき,この関係を検討した.<br> その結果は,市内でのレクリェーションは全体の約85%以上を占め,市外へ遠ざかるにつれて減少する.しかも市内では映画観賞など受動的なものが主で,市外におけるものとその形態が異なる.市外でも1時間までのところでは通勤者の休息が主となり, 3時間までは日帰りが多いが, 3時間以上になると日帰りはなく,宿泊による観光旅行となる.<br> このような都市を中心とする地域における都市住民のレクリェーションの頻度と形態の違いは,ひいてレクリェーション景観の違いをもたらしてくる.そこで市内には歓楽商店街などが発達し,1時間以内の地域には住宅群を中心に緑地遊園地が発達し, 3時間以内の地域には,ハイキング・ドライヴなどの能動的なレクリェーションの対象景観が発達する. 3時間以上の地域は広範に亙り,温泉・景勝地・史跡地など特定の観光地が不連続に分散し,それらの場所に市内歓楽街と同様なサービス施設が伴い,いわゆる観光地景観を呈する.このように都市を中心とするレクリェーション地域は都市圏と類似した構造を示す.

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