著者
高木 秀樹
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.22-31, 1970
被引用文献数
1

メキシコの農村において,村人の集りの場は,村の中央にある広場である.この広場には,役場・教会・小学校がある.また週に一度この広場の一隅が市場となる.この市場は,単に物々交換的場だけではない.家族で飲み・食べそして村人とニュースを交換する場でもある.いわば村の社交的場であり,娯楽センターである.この市場の存続の背景となっているのは,村の生産構造であり,消費人口であろう.村人にとっては,手軽に現金を入手出来る場であり,また気軽に物資を手に入れることが可能である.村として自給経済可能である生産品は,この市場を持続させている.一方中心部の人口は主に消費人口でこの入口の大小も,プラサの機能に関係がある.村民生活の向上につれて,村人も近接町の市場へと進出している.市場の日も,これを考慮してある.このようにして,村としての自給圏を維持している一方,近接町を含めて,生活共同圏を拡大している.

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