著者
亀田 佳代子
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.94-97, 1999

ボルネオ島のマレーシアサラワク州において,これまで繁殖記録のなかったクリイロバンケンモドキの繁殖を観察したので報告する。1996年8月4日,ランビルヒル国立公園内にあるつり橋状のウォークウェイで,オスのクリイロバンケンモドキが枝をくわえてヒルギ科の樹冠付近に入るのが目撃された。8月7日にその木に巣があるのを発見し1羽が巣にいるのを確認したため,営巣が判明した。高さは地上約20mであり,営巣木である <i>Carallia brachiata</i> の樹冠付近には,数種のつる性植物が繁茂していた。巣は外側が小枝,内側には葉が敷かれており,近縁種の巣と似た構造であることがわかった。抱卵期にはオスメスが約1時間おきに抱卵しており,卵の形態や卵数は確認できなかった。8月28日には雛が確認され,9月2日には雛数は2羽であることが判明した。雛は9月6日には巣から歩いて枝に移動するのが見られた。翌7日には,頭の羽の色からオスメス1羽ずつであることがわかった。9月8日以降,雛は巣および営巣木からいなくなった。羽がほぼ生えそろっていたこと,歩いて巣から出ていたことなどから,巣立って他の場所に移動した可能性が高いと考えられた。育雛中の9月3日に終日観察を行ったところ,12回のエサ運びが観察され,雌雄が確認された10例は全てメスであった。しかし,巣作り,抱卵,および抱雛はオスも行っていたため,本種では雌雄とも何らかの形で子育てを分担していることがわかった。

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こんな論文どうですか? A Breeding Record of Raffle's Malkoha Phaenicophaecus chlorophaeus from Borneo.(亀田 佳代子),1999 … https://t.co/9NZPhE3Sm3
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