- 著者
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藤巻 裕蔵
羽田 恭子
- 出版者
- 公益財団法人 山階鳥類研究所
- 雑誌
- 山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.3, pp.276-281, 1976
日本鳥類目録(第5版)によると,北海道でヘラシギが記録されているのは函館だけである。しかし,われわれは石狩と鵡川におけるシギ•チドリ類の観察で,これまでにヘラシギを9回記録した。またこれ以外にもいく例かの観察記録もある。さらに北海道大学付属博物館に保管されているヘラシギの標本20個体中13個体は北海道(石狩,小樽内川,銭函,勇払,浜中)で採集されたものである。<br>これらの記録から,北海道におけるヘラシギの渡りは秋,とくに9月に多く,春には極めて少ないといえよう。<br>なお同博物館に保管されているブラキストン標本中の2個体のヘラシギはYamashinaほか(1932)によって報告されており,その採集地はそれぞれ⌈Yufutsu⌉と⌈Hakodate⌉となっている。しかし一方の標本につけられているラベルのうち,一番最初につけられたと思われるものには採集地が⌈Hamanaka,E.Yezo⌉(浜中)と記されていた。したがって⌈Hakodate⌉は⌈Hamanaka⌉の誤りであろうと考えられる。