著者
山階 芳麿
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.131-142, 1977

本文はソ連邦•中国及び朝鮮に於いて近年出版された報告を集めて,トキ及びコウノトリのアジア大陸東部に於けるこの両種の現状を解説したものである。<br>1.トキがソ連邦で最後に発見されたのは1940年(クリュチ•ザハロフスキー地区),中国で最後に発見されたのは1957年(陜西省洋県)で,既に久しく発見されていないから,恐らく両国では絶滅したものであろう。しかし,朝鮮半島の中部では1965年以後,1974年まで稀に目撃されているので,北方の蕃殖地から稀に中部の平原に迷い出るのであろう。そして,その蕃殖地は不明だが,推測をすれば長白山脈の南側森林地帯が一番可能性がありそうである。<br>2.コウノトリはソ連邦内では,東西はゼーヤ川流域から日本海沿岸まで1,000km,南北はアムール川下流のボロン湖から沿海州南部のハンカ湖まで600kmの広大な地域に未だかなり多く蕃殖している。又,中国に於いても満州の中北部(恐らく嫩江流域)及び中部(ハルピン付近)に蕃殖しているという。これらのごく一部は朝鮮半島及び日本に越冬に来るが,その大部分は中国の揚子江下流及び福建省あたりで越冬する。したがってこの貴重なコウノトリの保存は,ソ連邦と中国の密接な協力によってのみ可能なのである。私はそれを強く希望する。それとともに,未だかなり大陸に蕃殖しているとはいえ,稀に日本に越冬に来るコウノトリが,心なき狩猟家によってたびたび銃殺されているのは,国際的にも日本の恥である。狩猟者及び狩猟者団体の猛省をうながしたい。

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