著者
藤井 大輔 栗田 啓 高嶋 成光
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.2918-2922, 2001

慢性関節リウマチの経過観察中に早期胃癌を発症し,それに対する幽門側胃切除術施行時に得られた小腸片より続発性消化管アミロイドーシスの確定診断を得た1例を経験した.症例は72歳,女性.近医にて慢性関節リウマチの治療のために入退院を繰り返していた.健康診断目的で受けた胃内視鏡にて早期胃癌を認めたため,治療目的で当院へ紹介された.早期胃癌の診断の下に幽門側胃切除術を行った.手術施行時に得られた空腸の一部を病理標本として提出,検討した.組織学的には,粘膜下層に分布する小型~中型の血管壁に好酸性物質の沈着,硝子化を散存性に認めた.同部位の特殊染色結果はAA typeのアミロイドーシス蛋白の沈着を示し慢性関節リウマチに続発した消化管アミロイドーシスと考えられた.消化管アミロイドーシスは,本症例のように胃癌が併発していることもあり,慢性関節リウマチに対しては定期的に内視鏡検査を行う必要があると考えられた.

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