著者
井谷 信彦
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.94, pp.1-20, 2006

本稿は、現代ドイツの教育学者ボルノウと、彼の思想に深い影響を与えた哲学者ハイデガーについて、両者の思索の関わりを問い直す研究の一環として位置づけられるものである。ハイデガー哲学からの影響を認めながらもボルノウは、その思想の根幹である「存在への問い」が開き示す可能性については、それを繰り返し排除あるいは無視し続けてきた。しかしながら、この拒絶がそもそも或る種の誤解に基づくものであったとすればどうだろうか。むしろその点に、ボルノウ自身によっては主題的に論じられることのなかった別なる思索の可能性が潜在しているのではないか。ハイデガーによる「存在への問い」についての考察を通じて、ボルノウによる人間学的な教育学がもついっそう豊かな可能性を解き放つことが、本研究に与えられた最終的な課題である。特にその端緒として本稿では、ボルノウによる「希望の哲学」をハイデガーによる「不安の分析論」をふまえて問い直すことが試みられる。

言及状況

外部データベース (DOI)

はてなブックマーク (1 users, 1 posts)

[ボルノウ][教育さん][信頼] 井谷信彦(2006)「希望、この無気味なるもの:O・F・ボルノウ「希望の哲学」再考」『教育哲学研究』94、教育哲学会

Twitter (1 users, 1 posts, 2 favorites)

収集済み URL リスト