著者
長谷島 伸親 小林 淳晃 竹澤 信治 大和 邦雄 門山 周文 川野 裕
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.1105-1110, 1995

ベリリウムの使用量に比し, 本邦の慢性ベリリウム症の報告は少なく20数例である. 今回, 我々は, 低含量Be銅合金加工工場で発生した慢性ベリリウム症の一例を経験した. 症例は24歳, 男性, 労作時呼吸困難を主訴に受診した. 19歳の時より当院受診時まで, 1.8%未満のベリリウム銅合金加工工場に勤務し, 細線加工に従事していた. 胸部X線像では左気胸と両肺にびまん性の微細な粒状影と嚢胞が認められ, 肺機能検査は, 拡散障害と拘束性障害を示していた. 肺生検組織で壊死を伴わない類上皮細胞性肉芽腫と胞隔炎を認め, 肺組織に正常より高濃度のベリリウムが検出された. BeSO<sub>4</sub>による気管支肺胞洗浄液リンパ球刺激テストと末梢血リンパ球刺激テストは共に陽性であった. 職業歴と検査所見より慢性ベリリウム症と診断した.

言及状況

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