著者
天井 勝海
出版者
日本地理教育学会
雑誌
新地理 (ISSN:05598362)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.51-61, 1973

「修学旅行否定論」にみられるように, 遠足, 林間学校, 修学旅行などの校外学習に対する批判の声は依然として強く残されている。 これは, 校外学習の教育的効果が, 期待したほど上らず, 教育的計画になればなるほど生徒はなじまなくなるといった傾向がみられるためでもある。<br>本校 (東京都立羽田高等学校) では, このような校外学習に対して, 校外学習の意義を, 再確認して, 活発化されたホームルーム活動を通して, 現地で学習する校外学習を計画した。 現地での学習は, いわゆるフィールドワークであり, 授業の中で実施されているフィールドワークとは, 違った地域 (今回は, 山口県萩市と長野県白馬村塩島) でのものであり生徒の関心も高かった。<br>この計画では, 多くの問題を残しつつも, とくに, 事前の準備に相当の時間をかけて実施されるように計画した。 そのため, 生徒一人一人は現地の理解には, 大いに役立ったし, 地理の教科からこの計画を評価すれば, 地理的見方, 考え方を伸ばすのに, 大いに効果があった。<br>また, 班活動, ホームルーム活動を通しての事前の準備-実施-事後の処理にあたったため, 各ホームルームでの協力体制や友情を深めるとか, 集団で調査や行動してみる経験などを得ることができ, ホームルーム経営といった面からの評価も見のがせない。

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