著者
湯沢 雍彦 鈴木 敏子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.392-400, 1974

1. 安乗の母と子の意識は, 一致率が横浜市より5~30%低く, ズレが大きい.そのの上, 本調査では否定的回答の一致率が高い.<BR>2.母と子別の意識のズレ方では, 両地域の子が母より否定的回答に傾斜している点は同様であるが, 安乗において一層その傾向が著しい.<BR>3.母と子の意識のズレを大きくしている要因は, 4分の1の家族が父親出稼ぎ中であり, 母親の95%が一日平均8時間49分も家庭外労働に従事している.そのうえ親子が一緒に食事をする家族が少なく, 母子の話し合う時間は一日30分以下というのが62%もある。その他親子揃って外出する機会はまれで, 親の世代に比べ子どもは仕事の手伝いをしなくなったなど, これらが親子の接触を乏しいものにしていると考えられる.<BR>4.社会的経済的諸条件の変化が影響して, 漁業継承を期待, 希望する母子は2, 3例にすぎず, 漁業に代わる具体的な将来像や展望も見出していない.したがって, 漁業継承を前提としていた親子関係は動揺しており, それが母と子の意識のズレを大きくしているようである.

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