著者
三木 登
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.119-125, 1975

トマト中に存在する天然の抗酸化物質を分離,同定し,リコピンの酸化に対するそれらの抗酸化能について調べた。<BR>(1) トマトジュースのメタノール抽出液中からFlori-silカラムクロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィー(TLC)により抗酸化物質を分離した。<BR>(2) 主たる抗酸化物質は,TLC,紫外線および赤外線吸収スペクトルなどにより,α-およびγ-トコフェロールと同定した。<BR>(3) トマトジュース中のトコフェロール総量は約0.7から1.1mg%であった。平均組成はα-, γ-およびδ-トコフェロールがそれぞれ85%,15%および2%であった。<BR>(4) トマト中に存在するトコフェロールでトマト中のリコピンの酸化を十分に防止できるものと推定した。<BR>(5) リコピンの酸化に対する抗酸化能はα->γ->δ-トコフェロールの順であった。合成酸化防止剤(ブチルハイドロオキシアニソール,ブチルハイドロオキシトルエン)およびフラボノイドのリコピンの酸化に対する抗酸化能はトコフェロールにははるかにおよぼなかった。

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