著者
今井 悦子
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.121-127, 2002

家庭内で常に特定の人が使うことが決まっている食器を属人器というが, 属人器の実態を明らかにする手始めとして, 埼玉県居住者を中心とする2, 500名を対象とし, 郵送調査法を用いてアンケート調査を行った. 回収率は41.4%であった (家族2人以上の者に限った).<BR>調査の結果, 以下のことが明らかになった.<BR>1. もっとも専用率が高い食器は箸であり, 次いで飯碗, 湯呑みで, これらは8~9割方属人器として使われていた. 汁椀はほぼ半数が, 一方取り皿は約8%のみが属人器としていた.<BR>各食器の専用・共用実態と家族人数の間には関係がなく, 同居世代数との間には一部関係があった. また, 食事作りを担当している者の年齢との間には食器によっては有意差があり, 若い世代は専用が少なく, 高齢世代は専用が多かった.<BR>2. 食器の共用に対する抵抗感の有無を調べたところ, 抵抗感ありは箸が50.0%ともっとも高く, 次いで湯呑み (39%), 飯碗 (35%), 汁椀 (24%), 取り皿 (5%) であることが分かった. 抵抗感は, どの食器でも有意に女性にありが多く, 男性に少なかった. また, 年齢とは関係がなく, 家族人数とは一部関係が見られただけだったが, 同居世代数とは関係があった. すなわち, どの食器も3世代以上の世帯では抵抗感ありが多く, なしが少なく, 逆に1または2世代世帯では抵抗感ありが少なく, なしが多かった.<BR>3. 家族の中の誰に対して抵抗感があるか調べたところ, どの食器も義理の関係にある者に対しての抵抗感がもっとも強いことが分かった. 次いで父母, 兄弟, 配偶者, 子どもの順であった.<BR>4. 日常の家族との食生活と抵抗感との関係をみたところ, 抵抗感ありの人々では, 食事中家族団欒がほとんどなしが多く, 団欒ありが少なかった.5. 食器共用への抵抗感に寄与する因子を見つけるためにCHAIDを行った結果, 抵抗感なしの人々は実際にその食器を共用していること, また, 抵抗感ありの人々はまず食器は専用としていて, さらに性や同居世代数, または家族との日常の共食実態などが抵抗感の有無に影響していることが示唆された.

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