- 著者
-
橋本 貴美子
石川 諄子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 家政学雑誌 (ISSN:04499069)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.6, pp.451-457, 1962
1. 調査に対する反省<BR>今回の調査は始めに述べたように生活改良普及員の方を通して行った調査であるので、調査対象となった家庭は目頃普及員の方々にかなり協力的な家庭が選ばれた。そのため平均より経済的にも知識的にもやや上位の農家が対象となった様である。このことは耕地面積、農機具や家庭器具の持ち方からも察せられる。農業経営の方法も家畜の飼育状態等から分かるように、多角的経営はあまり行われて居らず、従って余暇には相当恵まれた家庭であろうと考えられる。それ故この調査の結果が全部の農家にあてはまるとは考えられない。<BR>次に調査内容として今回は余暇の量よりも質ということで、余暇時間がどれだけあるかは調査しなかったのであるが、やはり余暇の内容が時間的にどれ位の割合で利用されているかを調査すべきであったと思っている。<BR>2. 調査結果のまとめ<BR>余暇の内容は多種・多様であるが、やはり何れの統計にも見られる結果と同様、新聞を読む、ラジオをきく、テレビをみる、休息、雑談等が高率を占めて居り、一般的には農家としての特徴は見られない。しかし農家の中でも農業従事者と農業外の仕事の従事者とでは年齢との関係もあるが、相当余暇利用の仕方に相違が見受けられ、農業従事者は家庭内での余暇利用が多く、農業外の仕事に従事する者は家庭外での余暇利用が多くなっている。<BR>全般的に余暇の内容は健康で、パチンコ、マージャン、競輪、競馬等は極く少数者に楽しまれているのみで、特に余暇のために弊害を起こしているとは考えられない。<BR>これら余暇の中でも社会事業、婦人会活動、P.T.A活動、各種の講習会に参加すること等は或る程度強制的に参加させられる向きもあり、本当に余暇の利用といい得るか否かは疑問である。しかしこのような会合に参加することによって各種の知識を得、生活を改善して余暇を作り出そうとする意欲も生れて来るようになるかもしれない。強制的な面から出発して、自主的な方向へ向けられれば幸であると思う。<BR>余暇の種類は農業外の、しかも若い世代の人に多く、之等の人達が誤った方向へ余暇利用をしないように指導されなければならない。<BR>30代、40代、50代の中年層は家庭生活と直接つながりのある家族の団らんや子供の勉強をみる事、家庭内で新聞を読んだり、ラジオをきいたり、テレビを見たりということが多く、本当に自分の趣味を生かした余暇利用は少ない。<BR>老年者は農家に限らず、一般的にもそのような傾向であろうが、余暇の種類は少ない。何か自分の特技、趣味といったようなものを身につけて、本当に意義ある余暇の過し方ができるように心掛けることが必要であると思う。