著者
青柿 節子 黒沢 和子 藤木 澄子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.451-456, 1982

天ぷらを作る際に衣にしょうが汁を添加すると軽い好ましい衣ができるといわれているのでその理由を検討したところ次のような結果が得られた.<BR>1) 小麦粉のとき水に10%しょうが汁を添加した衣は放置時間に伴ってBL型粘度計による粘度, 揚げ種への付着量, テクスチュロメーターによる硬さ・付着性が低下した.<BR>2) 20分間放置した添加衣を光学顕微鏡により観察すると連続していたグルテンが小さく分散していることが認められた.<BR>3) 揚げ衣はしょうが汁添加後の放置時間の延長に伴って水と油の交代がよく行われた.無添加衣にはこのような傾向は認められなかった.<BR>4) 添加衣, 無添加衣を用いてさつまいもの天ぷらを作り, 官能検査をした結果, 添加衣を20分間放置したものが最も好まれた.<BR>5) しょうがからプロテアーゼを抽出精製して, その酵素液をグルテニン・グリアジンに作用させ, SDS-PAG電気泳動を行った結果, 5分間の反応により, グルテニンの分子量104,000, 84,000に相当するバンドおよびグリアジンの分子量46,000に相当するパンドが消失して低分子化していることが認められた.<BR>以上の結果より天ぷらの衣にしょうが汁を添加するとからりとした好ましい成績が得られることが明らかになった.また魚等の腿臭のある揚げ種にこの衣を用いると, しょうがの芳香も有効に働き, 効果的ではないかと考えられる.

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