著者
養老 孟司 神谷 敏郎
出版者
International Society of Histology and Cytology
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.403-415, 1973
被引用文献数
4

北海道産オオアシトガリネズミの放臭腺の構造と, この腺の大部分を占めるアポクリン腺の腺細胞の微細構造を記載した.<br>放臭腺は毛とこれに付属する脂腺, アポクリン腺が側胸部でとくに良く発達したもので, 雄では大きく, 雌では小さい.<br>アポクリン腺の腺細胞は分泌物の量により異った形を示す. 分泌物は蛋白を多く含むと思われるが, 限界膜をもたず, 周囲にはリボソームが集る. ミトコンドリアの形態と分布は特異で, 細胞の基底部では多形性を示し, 小さく, 分泌物との関連がはっきりしないが, 頂部では丸く大きく, 基質電子密度は高く, 分泌物の周囲をとりかこむように配列する. この種の大きなミトコンドリアは分泌物とともに細胞外へ出される可能性がある.<br><i>Sorex</i> 属では放臭腺は主として腺体がアポクリン腺で占められているが, 近縁の <i>Neomys</i> 属と <i>Crocidura</i> 属では脂腺で占められる. これとちょうど平行した属間変更を示すのが顎下腺であって, 線条部が <i>Sorex</i> では分泌能がなく, <i>Neomys, Crocidura</i> では分泌能をもつ. このことから想定される顎下腺線条部と放臭腺の機能的関連について論じた.

言及状況

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編集者: Bcxfubot
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編集者: Mamolin
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編集者: Mamolin
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